オペアンプ

実際のオペアンプの使い方を解説【勉強だけでは使いこなせない】

実際のオペアンプのイメージ図

    • オペアンプを使いこなしたいけど、使い方が良くわからない。
    • オペアンプについて勉強したけど、実際のオペアンプとなると手が止まってしまう。
    • オペアンプのNC端子って必要ですか?
    • 作成したオペアンプ回路の使い方が合っていることを確認するには、どうすれば良い?

こんな疑問にお答えします。

 

 

本記事を書いている私は、10年ほど電子回路設計の仕事をしています。

オペアンプは、勉強しただけでは使いこなせるようにはなりません。

オペアンプの勉強をしても、実際にオペアンプで回路を作成するとき、手が止まってしまうと思います。

その理由はなぜか分かりますか?

 

本記事を読めば、その理由と対応方法がわかります。

5分で読めますので、ぜひ最後までご覧ください。

 

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オペアンプの使い方はデータシートを見る

以下は、オペアンプの写真です。

 

オペアンプの外観

 

あれ・・・?
端子が8ピンある?
なぜだろう・・・?

そんな風に思ったことはありませんか?

オペアンプの勉強をしていると、よく見かけるのは5ピンですよね。

 

オペアンプの記号

  • マイナスの入力端子 -IN
  • プラスの入力端子 +IN
  • プラスの電源電圧 +V
  • マイナスの電源電圧 -V
  • 出力端子 OUT

 

しかし、実際のオペアンプは5ピンではありません。

例えば、アナログデバイセズ社製のオペアンプAD711は、このようになっています。

 

オペアンプの接続図

アナログデバイセズ オペアンプ AD711 のデータシートより抜粋

  • マイナスの入力端子 -IN → INVERTING INPUT(端子番号:2)
  • プラスの入力端子 +IN → NON INVERTING INPUT(端子番号:3)
  • プラスの電源電圧 +V → +Vs(端子番号:7)
  • マイナスの電源電圧 -V → -Vs(端子番号:4)
  • 出力端子 OUT → OUTPUT(端子番号:6)

この図はデータシートの接続図に記載されています。

 

参考書などでオペアンプの勉強だけをしていると、データシートを確認する機会はあまりないと思います。

しかし、実際にオペアンプで回路を作成するときは、データシートに記載されている情報が必要になります。

 

よって、オペアンプを使うときは、データシートを確認するようにしましょう。メーカのHPからダウンロードできます。

 

よくある質問

オペアンプの OFFSET NULL とは、何をする端子なのでしょうか?(端子番号1と5)

オフセットをゼロにするために使用します。

オフセットとは、「マイナスの入力端子 -IN」と「プラスの入力端子 +IN」の電圧の差です。

 

オペアンプのオフセットによる電圧の差

 

一般的にオペアンプは、バーチャルショートが働くように回路を構成することが多いので、「-IN」と「+IN」の電圧は同じです。

しかし、完全に同じではなく、少しだけ電圧の差があります。

 

例えば、入力電圧Vin=1Vを、( R2 / R1 ) = ( 100k / 10k ) = 10倍に増幅する場合、

出力電圧Vout = Vin ×  ( R2 / R1 ) = 1V × 10倍 = 10V

となりますが、電圧の差(オフセット)=0.1Vだとすると、

出力電圧Vout = ( Vin + 電圧の差 ) ×  ( R2 / R1 ) = ( 1V + 0.1V ) × 10倍 = 11V × 10倍 = 11V

となり、電圧の差(オフセット)の影響で1Vも大きくなってしまいます。

(大きさの解説をしているため、上記の計算では符号を省略しました。)

 

OFFSET NULL 端子は、この電圧の差ができるだけゼロになるように、オペアンプ外部から調整できるようにするための端子です。

 

 

よくある質問

オペアンプの NC は、何をする端子なのでしょうか?(端子番号8)

NCは、NO CONNECTのことです。

つまり、何も接続する必要はありません。

 

よくある質問

何も接続しないのであれば、NC端子は存在する必要があるでしょうか?

確かに必要ないですね。

しかし、オペアンプには色々な種類があります。

 

例えば、2回路入りのオペアンプAD822があります。

 

2回路入りオペアンプの接続図

アナログデバイセズ オペアンプ AD822 のデータシートより抜粋

 

これはAD711と同様の形状ですが、NC端子はありません。

種類ごとに別の形状のオペアンプを用意したり、端子を削除するのはコストがかかります。

同じ形状のオペアンプであれば、大量生産で安く作れますからね。

 

なので、同じ形状のものを共通で使っているため、オペアンプの種類によっては、使用しない端子(NC端子)が存在するのです。

 

よくある質問

Arduinoを使いたいのですが、プラスの電源電圧しか供給できません。
Arduinoと接続する場合、マイナスの電源電圧-Vには何を接続すれば良いのでしょうか?

GND(0V)を接続してください。

ただし、使用するオペアンプは両電源ではなく、単電源のオペアンプを使用してください。

 

よくある質問

オペアンプの使い方を学習するのに、ブレッドボードではダメでしょうか?

ブレッドボード上のオペアンプ

 

使用する信号の周波数が極端に高くなければ大丈夫です。

ただし、ブレッドボードだと配線の引き回しが長くなるので、信号の干渉や発振などの不具合が起きやすくなります。

そのデメリットを認識したうえで使いましょう。

 

とはいえ、不具合が起きやすい環境の方が勉強には適しているかもしれませんね。

こうしたらダメなんだぁ・・・とか、実験を通じて学ぶことができると思います。

 

 

オペアンプの使い方が合っていることを確認する方法

オペアンプの使い方が合っていることを確認する方法を、以下のオペアンプ回路(反転増幅回路)で解説します。

 

オペアンプの使い方を調べる回路

 

オペアンプは、アナログデバイセズ製のAD822です。

AD822は単電源でも動作しますが、ここでは両電源で使用します。

 

これをデータシートを見ながら、実際に接続すると以下のようになります。

 

オペアンプの接続図

 

AD822は2回路入りのオペアンプで、1回路だけ使用します。

もう1つの回路は使用しないので、勝手に誤動作しないようにGND(0V)に接続しましょう。(端子番号:5,6,7)

 

なお、オペアンプで使用しない端子はGNDに接続することが多いですが、実際はメーカに確認するようにしましょう。

もしかしたら、何も接続しないで良いとか、別の接続処理の方法を指示されるかもしれません。

 

さて、実際に接続したところで、オペアンプの使い方が合っているかを確認するには、計算結果と比較することです。

例えば、増幅率は( R2 / R1 ) = ( 100k / 10k ) = 10倍なので、

入力電圧Vin=100mV、200mV、300mVと大きくしたとき、出力電圧Vout=1V、2V、3Vとなっていれば大丈夫です。

 

これをLTspiceでシミュレーションしてみると、

・入力電圧Vin=100mV
オペアンプの計算結果のシミュレーション1

 

・入力電圧Vin=200mV
オペアンプの計算結果のシミュレーション2

 

・入力電圧Vin=300mV
オペアンプの計算結果のシミュレーション3

となるので、同様の波形をオシロスコープで確認できれば、使い方は合っていると判断できるでしょう。

 

もし、ちゃんと確認できなければ・・・

まずはGNDの接続を疑いましょう。

見かけ上、GNDと接続されているけど、実際はつながっていなかった・・・、なんてことはよくあります。

自分で半田付けしたのなら、うまく半田付けできなかったのかもしれません。

プリント基板を製作したのなら、はんだ不良かもしれません。

もう一度しっかりとはんだ付けしてみましょう。

 

 

オペアンプの使い方のまとめ

オペアンプの使い方について解説しました。

オペアンプを使いこなすには、データシートを見る必要があることを理解できましたか?

また、計算結果と比較して、使い方が合っていることを確認するのも大切ですね。

本記事が少しでもお役に立てば幸いです。

 

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