オペアンプ

オペアンプの仕組みと用途【コンパレータとバッファ】

オペアンプのコンパレータのイメージ図

    • オペアンプの仕組みについて知りたい
    • オペアンプって、どんな用途で使われるんですか?
    • コンパレータ、バッファ、ボルテージフォロワって何ですか?

こんな質問にお答えします。

 

 

本記事を書いている私は、電子回路設計歴10年になります。

今回はオペアンプの仕組みと用途について解説します。

 

オペアンプは小さな電圧を増幅するイメージが強いですよね。

 

確かにその通りですが、コンパレータやバッファとしても使用することができます。

 

電圧増幅以外の用途も知っておけば、オペアンプの幅が広がります。

2回路入りのオペアンプで、余った1回路をコンパレータやバッファとして使う、なんてこともできるようになりますよ。

 

そのためにも、まずはオペアンプ単体の仕組みから理解すると良いです。

 

本記事を読めば、オペアンプ単体の仕組みから、電圧増幅だけでなく、コンパレータやバッファとしての用途について理解することができます。

5分で読めますので、ぜひ最後までご覧ください。

 

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オペアンプの仕組み

オペアンプ回路を見たことがあるかもしれませんが、まずは仕組みを理解するために、オペアンプ単体の動作を解説します。

 

オペアンプを構成する端子

+IN:非反転入力端子
-IN:反転入力端子
+V:プラス電源端子
-V:マイナス電源端子
OUT:出力端子

 

上図のように、オペアンプは5つの端子から構成されています。

 

電源電圧を±15V(+V=15V、-V=-15V)として、

+IN=5V、-IN=3Vを入力してみます。

プラスに動作するオペアンプの仕組み

すると・・・、出力電圧OUTはどうなるでしょうか?

 

その答えは、+15Vが出力されます。

 

それはなぜか、もうひとつ例をみてみましょう。

今度は、+IN=1V、-IN=4Vを入力してみます。

マイナスに動作するオペアンプの仕組み

 

今回は・・・、-15Vが出力されます。

 

なんとなく気づいたでしょうか?

 

このような仕組みで動く理由は、

+INが大きいか、-INが大きいか

ということです。

 

つまり、入力電圧が、

+IN > -IN ⇒ 出力電圧OUTは+Vを出力する
+IN < -IN ⇒ 出力電圧OUTは-Vを出力する

という動作をします。

 

オペアンプ単体では、このような仕組みで動いています。

 

オペアンプの仕組みをさらに理解したい方は、

そもそもオペアンプの内部はどのような仕組みで動いているの?

と思うかもしれません。

その理解を深めたい方は、下記の記事を参考にしてください。

参考記事:オペアンプ内部の等価回路【入力段の動作原理から解説します】

もしかしたら難しいと感じるかもしれませんが、その場合は「+INが大きいか、-INが大きいかで出力電圧が決まるんだな」という理解で、今はいいと思います。

学習を進めていくうちに理解できるようになってきます。

 

 

さて、このような仕組みで動くオペアンプは、どのような用途で使われているでしょうか?

次はそれを解説します。

 

 

オペアンプの用途

オペアンプの用途は、

    • コンパレータ
    • 電圧増幅
    • バッファ(ボルテージフォロワ)

があります。

 

1つずつ解説していきます。

 

コンパレータ

コンパレータとは「比較器」のことです。

その名の通り、比較します。

 

何を比較するかというと「+IN」と「-IN」です。

オペアンプのプラスとマイナスの入力端子

 

あれ?それはさっきのオペアンプの仕組みでは?って思うかもしれませんが、その通りです。

先程の「オペアンプの仕組み」でお話しした通りに使用するとコンパレータになります。

実際にアナログ・デバイセズ社のオペアンプAD711でシミュレーションしてみます。

+IN:0~5Vを入力する
-IN:2.5Vを入力する

 

オペアンプでコンパレータのシミュレーション

横軸:+INへの入力電圧
縦軸:出力電圧OUT

 

オペアンプの+INに電圧を入力し、0Vから5Vまで少しずつ大きくしています。

-INへの入力電圧は2.5Vなので、

+IN < 2.5V ⇒ 出力電圧OUTは-15Vを出力する
+IN > 2.5V ⇒ 出力電圧OUTは+15Vを出力する

となっていることが分かります。

 

よって、オペアンプはコンパレータとしての用途があります。

 

補足

実際のコンパレータはオペアンプとは別ものとして販売されています。

例えば、

オペアンプ → NJM2903(新日本無線)
コンパレータ → NJM2904(新日本無線)

となっています。

何が違うかというと、内部にコンデンサが入っているかどうかです。

オペアンプ → 内部回路にコンデンサあり
コンパレータ → 内部回路にコンデンサなし

コンパレータとして使用するならコンデンサは不要なので、コンデンサがない状態で販売されています。

 

 

電圧増幅

オペアンプは電圧増幅としての用途があります。

オペアンプの用途としては、このイメージが最も強いのではないでしょうか。

実際の製品開発でも、センサから取得した小さな電圧を、オペアンプで大きな電圧に変換しますからね。

 

具体的な回路は、下図になります。

オペアンプで電圧増幅する回路

この回路で重要なのは、

  • 出力電圧Voutをオペアンプの-INに接続していること(フィードバック)
  • その結果、オペアンプの「-IN」と「+IN」が同じ電圧になること(バーチャルショート)

です。

 

これにより、電圧増幅を実現することができます。

なので、オペアンプは電圧増幅の用途があるのです。

オペアンプの電圧増幅について、もっと詳しく知りたい方は下記の記事で解説していますので、参考にしてください。

参考記事:オペアンプ反転増幅回路で増幅率を計算【適切な抵抗値の求め方】

 

 

バッファ(ボルテージフォロワ)

オペアンプにはバッファとしての用途もあります。

具体的にいうと、

オペアンプの入力側と出力側の影響をなくす

という用途です。

ちなみに別の言い方もありまして、ボルテージフォロワといいます。

バッファとしてのオペアンプ回路

 

バッファは上記のような回路で、重要なことは先程の電圧増幅と同じです。

  • 出力電圧OUTをオペアンプの-INに接続していること(フィードバック)
  • その結果、オペアンプの「-IN」と「+IN」が同じ電圧になること(バーチャルショート)

 

これにより、オペアンプの入力側と出力側の影響をなくしています。

 

具体的に抵抗分圧回路で解説します。

抵抗分圧回路へのテスターの影響

 

15Vを2個の抵抗100kΩで分圧すると7.5Vになります。

これをテスターで測定するとき、仮にテスターの入力抵抗が100kΩだとすると、5Vになってしまいます。

 

テスターを接続したことにより、テスターにも電流が流れてしまい、7.5Vが5Vになってしまったのですね。

 

どうすれば良いかといいますと、ここでバッファの出番です。

バッファとしてのオペアンプの用途

 

オペアンプの入力抵抗は非常に大きいため、電流はバッファに流れません。

しかしバッファの「-IN」と「+IN」は同じ電圧になるので、-INの電圧は7.5Vになります。

 

また、出力電圧OUTと-INは接続されているので、出力電圧OUTも7.5Vになります。

 

よって、テスターで7.5Vを測定できるようになりました。

 

つまり、

    • オペアンプの入力側にある抵抗分圧回路
    • オペアンプの出力側にあるテスター

この2つがバッファによって互いに影響することなく電圧を測定できているのです。

 

このようにオペアンプは、バッファとして入力側と出力側の影響をなくすという用途があります。

 

 

オペアンプの仕組みや用途のまとめ

オペアンプの仕組みや用途について解説しました。

オペアンプには電圧増幅だけでなく、コンパレータやバッファ(ボルテージフォロワ)としての用途もあることが理解できたでしょうか?

本記事が少しでもお役に立てば幸いです。

 

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