オペアンプ

オペアンプの定電流回路【吐き出しとLEDから大電流FETと発振】

オペアンプの定電流回路

  • オペアンプの定電流回路を理解したい
  • オペアンプ定電流回路の「吐き出し」と「吸い込み」って何ですか?
  • 一定の電流が大電流のときは、どうすれば良いですか?
  • MOSFETとオペアンプでつくった定電流回路も知りたいです
  • オペアンプ定電流回路が発振するのは、なぜでしょうか?

このような悩みにお答えします。

 

 

本記事を書いている私は電子回路設計歴10年です。

今回はオペアンプの定電流回路について解説します。

私の経験上、定電流回路といえばオペアンプで作ることが多いですね。

なので、実際に世の中の製品で使われている定電流回路を解説します。

5分程度で読めますので、ぜひご覧ください。

 

オペアンプの定電流回路(吐き出しと吸い込み)

吐き出し型

オペアンプの定電流回路は以下のとおりです。

 

オペアンプ定電流回路の吐き出し型

 

オペアンプの入力には+(プラス)と-(マイナス)がありまして、

この2つは、常に同じ電圧となっています。(これをバーチャルショートといいます。)

 

これを利用すると、Vrefの電圧が、そのまま抵抗R1の両端電圧に加わるので、

オームの法則により、

一定の電流 = Vref / 抵抗R1

となります。

 

例えば、

Vref = 2V
抵抗R1 = 100Ω

とすると、

一定の電流 = 2V / 100Ω = 0.02A = 20mA

となり、LEDに20mAの一定電流を流すことができます。

 

このオペアンプ定電流回路を、吐き出し型、あるいはソース型と言ったりします。

この呼び方の理由は、LEDに対して、オペアンプ定電流回路が電流を出しているからです。

 

これに対して、電流を吸い込むタイプがあります。

 

吸い込み型

オペアンプ定電流回路の吸い込み型

 

これがオペアンプ定電流回路の吸い込み型です。

原理は吐き出し型と同じで、オペアンプの+(プラス)と-(マイナス)の電圧が同じであることを利用しています。

 

Vrefの電圧が、そのまま抵抗R1の両端電圧に加わるので、

一定の電流 = Vref / 抵抗R1

となります。

 

なぜ、吸い込み型と呼ぶかというと、この回路の外部から電源を供給するからです。

つまり、この回路を用いる場合は、電源を外部に用意することが多く、その外部の電源から電流を吸い込んでいます。

なので、吸い込み型、あるいはシンク型と呼びます。

 

吐き出し型と吸い込み型の違いを簡単にいうと、

電源を内部に用意するか、外部に用意するか

という違いになります。

 

内部に持っている電源から電流を吐き出すか、
外部に用意した電源から電流を吸い込むか、

ということです。

 

よくある質問:
トランジスタの接地(GND)側についてる抵抗の意味は何ですか?

これまで解説したとおり、一定の電流を流すための抵抗です。

この抵抗に一定の電圧を加えることで、一定の電流をつくっています。

 

例えば、

Vref = 2.5V
抵抗R1 = 100Ω

とすると、

一定の電流 = 2.5V / 100Ω = 0.025A = 25mA

となり、LEDに25mAの一定電流を流すことができます。

 

よくある質問:
トランジスタは何のためにあるのですか?

結論から言いますと、

トランジスタ  → 電圧の変化を吸収するため

となります。

 

これについては、LEDの回路で解説していきます。

 

オペアンプとトランジスタを用いた定電流回路でLEDを変更する

トランジスタで電圧の変化を吸収する

オペアンプとトランジスタの定電流回路で、LEDを変更したときの動作を確認します。

 

LED変更前のオペアンプ定電流回路

回路図「V」と「C」の間の電圧波形(LED1の両端電圧):V(V,C)の信号(緑線)
回路図「C」と「E」の間の電圧波形(Q1のコレクタ-エミッタ電圧):V(C,E)の信号(赤線)
回路図「E」の電圧波形(R1の両端電圧):V(e)の信号(青線)
回路図「LED1」の電流波形:I(Led1)の信号(黄緑線)

 

LED1は、日亜化学工業製の【NSCW100】を使用しています。

 

シミュレーション結果をみると、

LED1の両端電圧:3.4V
Q1のコレクタ-エミッタ電圧:8.3V
R1の両端電圧:3.3V
LED1に流れる電流:10mA

となっております。

 

このLED1を日亜化学工業製の【NSPW500BS】に変更してみます。

 

LED変更後のオペアンプ定電流回路

 

シミュレーション結果をみると、

LED1の両端電圧:3.1V
Q1のコレクタ-エミッタ電圧:8.6V
R1の両端電圧:3.3V
LED1に流れる電流:10mA

となりました。

 

変化している部分は、

LED1の両端電圧:3.4V → 3.1V
Q1のコレクタ-エミッタ電圧:8.3V → 8.6V

の2つです。

 

LED1を変更することによって、LED1の順電圧が0.3V減少し、その分だけトランジスタQ1の電圧が増加しています。

つまり、LED1の電圧の変化分をトランジスタが吸収しているのです。

 

抵抗R1の両端電圧とLED1の電流は変化してないですね。

抵抗R1の両端電圧は、電源電圧V2なので、常に3.3Vで変化しません。

 

LED1の電流は、

LED1の電流
= 電源電圧V2 / 抵抗R1
= 3.3V / 330Ω
= 0.01A
= 10mA

であり、電源電圧V2と抵抗R1で決まるため、このV2とR1の値を変更しない限り、常に一定の10mAです。

 

よって、オペアンプ定電流回路におけるトランジスタは、電圧の変化を吸収しています。

 

よくある質問:
オペアンプとトランジスタを使った定電流回路は自動的に出力先の電圧が変わるということでしょうか?

自動的に出力先の電圧(LED1の両端電圧)が変わるというよりは、出力先(LED1)の都合で変化した電圧を、トランジスタQ1で調整(吸収)しているということです。

 

よくある質問:
大電流を扱う場合はどうすれば良いですか?

トランジスタではなく、MOSFETを使用しましょう。

一般的にトランジスタよりもMOSFETの方が、定格電流(流すことができる最大電流)が大きいです。

実際にMOSFETとオペアンプを用いた定電流回路を考えてみます。

 

 

定電流回路をMOSFETとオペアンプでつくる

MOSFETとオペアンプの定電流回路は以下の通りです。

 

定電流回路をオペアンプとMOSFETで作成

回路図「V」と「D」の間の電圧波形(LED1の両端電圧):V(V,D)の信号(緑線)
回路図「D」と「S」の間の電圧波形(NMOS1のコレクタ-エミッタ電圧):V(D,S)の信号(赤線)
回路図「S」の電圧波形(R1の両端電圧):V(s)の信号(青線)
回路図「LED1」の電流波形:I(Led1)の信号(黄緑線)

 

シミュレーション結果をみると、

LED1の両端電圧:3.1V
NMOS1のドレイン-ソース電圧:8.6V
R1の両端電圧:3.3V
LED1に流れる電流:10mA

となっています。

 

MOSFETでも10mAの一定電流が流せていることがわかります。

LED1の電流 = 電源電圧V2 / 抵抗R1 = 3.3V / 330Ω = 10mA

 

よくある質問:
NチャネルMOSFETとオペアンプによる定電流回路を作ったとき、MOSFETでは、どれくらいの電圧降下があるでしょうか?
NPNトランジスタであれば、データシートに飽和電圧の値が示されていますが、NチャネルMOSFETは示されていません。

結論、同じです。

 

これまでのシミュレーション結果から、日亜化学工業製のLED【NSPW500BS】を使用したときの「トランジスタの両端電圧」と「MOSFETの両端電圧」を比較すると、

Q1のコレクタ-エミッタ電圧:8.6V
NMOS1のドレイン-ソース電圧:8.6V

となっており、同じ電圧であることがわかります。

 

先程の「トランジスタで電圧の変化を吸収する」でお話した通り、トランジスタは電圧の変化を吸収するように動作します。

 

これはMOSFETでも同じです。

 

よくある質問:
オペアンプの定電流回路が発振してしまうのですが、なぜですか?

オペアンプの出力に大きなコンデンサが接続されていると発振することがあります。

 

これについて解説していきます。

 

オペアンプ定電流回路が発振する理由と対策

オペアンプを用いた回路では、出力が発振することがあります。

発振するというのは、出力が安定せずに変動してしまうことです。

 

どのようなときに発振してしまうかというと、オペアンプの出力に大きなコンデンサを接続したときです。

 

オペアンプのコンデンサによる発振現象

 

コンデンサを接続すると、「位相が遅れる」ため発振してしまいます。

 

個人的には、オペアンプ定電流回路でも発振する可能性はあると思っています。

例えば、ノイズ対策などでLEDに並列にコンデンサを追加したときです。

 

オペアンプ定電流回路のコンデンサ追加

 

この回路では、LED1に並列にコンデンサC1を接続しています。

オペアンプU1の出力に、抵抗R3とトランジスタQ1を経由して、コンデンサC1が接続されています。

このような場合に発振する可能性があります。

 

発振した場合の対策としては、コンデンサの値を小さくすることです。

理由は、コンデンサの値が小さいほど発振しにくいからです。

 

私の経験的には、

0.1uF ~ 10uF → 発振しやすい
1000pF ~ 0.01uF → 発振するかも
10pF ~ 100pF → 発振しにくい

といった感じです。

 

あくまで経験にもとづいた値であり、オペアンプ自体の特性によっても変わってきます。

 

なので、上記の値が絶対に正しいわけではないですが、少なくともコンデンサの値が小さくなれば、発振しにくくなります。

 

よくある質問:
どうしてもコンデンサを追加する必要があるとき、どうすれば良いですか?

実際にコンデンサを接続して確認することです。

100pFのコンデンサを追加したい場合は、実際に100pFのコンデンサを接続し、オシロスコープなどで「発振してないこと」を確認しましょう。

 

コツとしては、100pFを追加したいときは、「どれだけ余裕があるか」も確認することです。

 

例えば1000pFや10000pFも接続して「発振してないこと」を確認できたら、

「100pFよりも大きなコンデンサでも発振しないので大丈夫そうだ」

という判断ができます。

 

 

オペアンプ定電流回路のまとめ

今回は、オペアンプの定電流回路について解説しました。

少しは理解することができたでしょうか?

オペアンプとトランジスタを組み合わせた定電流回路は、実際の製品開発でもよく見ますので、ぜひ参考にしてください。

本記事が少しでもお役に立てば幸いです。

 

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