LTspiceのAC解析で自由にグラフを表示する方法

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LTspiceのAC解析シミュレーションのイメージ図

LTspiceのAC解析を使用したとき、このように考えたことはありませんか?

  • 位相特性を削除したい、あるいは、位相特性だけを表示したい
  • グラフの画面を別々に表示したい、または、グラフの表示範囲を変えたい
  • グラフの横軸を周波数[Hz]のまま、縦軸にインピーダンスやリアクタンスを表示したい
  • グラフの縦軸を利得[dB]のまま、横軸に電圧を表示したい
  • グラフの値を正確に読み取りたい

LTspiceのAC解析で様々なグラフの表示方法を知りたい方や、

グラフの値を正確に読み取りたい方向けに、

グラフの表示方法や値の読み取り方法について解説します。

目次

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LTspiceのAC解析(小信号解析)とは?

RC回路のAC解析シミュレーション

AC解析は、信号源の周波数の変化に対して、

「回路図上の測定点の利得位相がどのように変化するか」を観測するためのシミュレーションです。

上図は、RC回路のAC解析シミュレーションであり、

信号源V1の周波数を1Hz~10MHzまで変化させたとき、

回路図上のOUTの「利得」と「位相」の変化を観測しています。

基本的な「AC解析の実行方法」については

」に記載されているため、

ここでの説明は省略します。

LTspiceのAC解析で自由にグラフを表示する方法

シミュレーション結果の位相特性のグラフ(破線)を消す⽅法

位相特性グラフを削除したRC回路のAC解析シミュレーション

RC回路のAC解析シミュレーションです。

位相特性グラフ(破線)を削除する方法について解説します。

1. AC解析を実行後、グラフウィンドウ(.rawウィンドウ)で、
右側の縦軸の数値(位相)上で右クリックする。

2. Right Vertical Axisウィンドウが表示されるので、
「Don’t plot phase」を左クリックすると、位相特性のグラフが削除される。

位相特性グラフの削除方法

この方法で、位相特性グラフ(破線)を削除することができます。

利得と位相のグラフを別々の画面に表示する方法

2画面表示にしたRC回路のAC解析シミュレーション

先程と同じ、RC回路のAC解析シミュレーションです。

利得特性と位相特性のグラフを、別々の画面に表示する方法について解説します。

1. AC解析を実行後、グラフウィンドウ(.rawウィンドウ)にカーソルを合わせて、左クリックする。

2. メニューの「Plot Settings」→「Add Plot Pane」を選択すると、新しくグラフが追加される。

3. メニューの「Simulate」→「Run」で、再度AC解析を実行する。

4. 回路図(.ascウィンドウ)上の波形を表示させたい箇所を左クリックすると、
追加された新しいグラフに波形が表示される。

5. 古いグラフの右側の縦軸の数値(位相)上で右クリックし、
表示されたRight Vertical Axisウィンドウの「Don’t plot phase」をクリックすると、
位相特性のグラフが削除される。

位相特性グラフの削除方法

6. 追加された新しいグラフの左側の縦軸の数値(利得)上で右クリックし、
表示されたLeft Vertical Axisウィンドウの「Don’t plot the magnitude」をクリックすると、
利得特性のグラフが削除され、位相特性のグラフだけになる。

利得特性グラフの削除方法

この方法で、利得特性と位相特性のグラフを、別々の画面に表示することができます。

位相特性だけを単独で表示する方法

位相特性だけを表示させたい場合は、さらに古いグラフを左クリックし、

メニューの「Plot Settings」→「Delete Active Pane」を選択すると、

古いグラフは削除され、位相特性のグラフだけになります。

位相特性グラフのみ表示したRC回路のAC解析シミュレーション

利得グラフの縦軸の範囲を変える方法

縦軸の範囲を変えた非反転増幅回路のAC解析シミュレーション

非反転増幅回路のAC解析シミュレーションです。

グラフの縦軸の範囲を変える方法について解説します。

1. AC解析を実行後、グラフの左側の縦軸の数値(利得)上で右クリックすると、
Left Vertical Axisウィンドウが表示される。

2. Rangeで「Top: 8dB → 20dB」、「Bottom: -20dB → -40dB」と変更する。

縦軸の範囲の変更方法

この方法で、グラフの「縦軸の範囲」を広く表示することができます。

横軸の単位はHz(ヘルツ)のまま、縦軸の単位をインピーダンス表示にする方法

インピーダンス表示にした水晶振動子のAC解析シミュレーション

水晶振動子(LCR回路)のAC解析シミュレーションです。

水晶振動子(LCR回路)の端子間インピーダンスのグラフ表示方法について解説します。

1. AC解析を実行後、回路図上の「IN」を左クリックすると、グラフが表示される。

2. グラフのタイトルV(in)を右クリックすると、Expression Editorウィンドウが表示される。

インピーダンス表示の変更方法

3. 「V(in)」を「V(in)/-I(V1)」に変更する。

電流I(V1)は信号源V1から出力する方向にするため、-I(V1)とする。

※LTspiceの信号源電流は、
信号源への入力方向(信号源の+から-方向)を正として扱っているため、
信号源からの出力方向を正として扱うためには、-をつける必要があります。

4. 次に、グラフの左側の縦軸の数値上で右クリックし、
表示されたLeft Vertical AxisウィンドウのRepresentationで、
「Decibel」→「Logarithmic」に変更する。

利得から対数表示への変更方法

この方法で、横軸の単位はHz(ヘルツ)のまま、縦軸の単位をインピーダンス表示できます。

インピーダンスの⼤きさとリアクタンス分の周波数特性グラフを表⽰する方法

リアクタンス表示にした水晶振動子のAC解析シミュレーション

先程と同じ、水晶振動子(LCR回路)のAC解析シミュレーションです。

水晶振動子(LCR回路)のリアクタンス分のグラフ表示方法について解説します。

1. 先程の水晶振動子(LCR回路)の縦軸の単位をインピーダンス表示にした後、
グラフの左側の縦軸の数値上で右クリックすると、Left Vertical Axisウィンドウを表示される。

2. Representationで、「Bode」→「Cartesian」に変更する。

リアクタンス表示への変更方法

この方法で、右側の縦軸にリアクタンス分を表示できます。

縦軸中央がゼロ、上がプラス(誘導性)、下がマイナス(容量性)という表示になっています。

縦軸の単位は「KiΩ」と表記されています。

これはiを虚数としたとき、30KiΩならば、i×30KΩということです。

縦軸を利得、横軸を電圧にしたグラフの表示方法

横軸を電圧表示にした非反転増幅回路のAC解析シミュレーション

非反転増幅回路のAC解析シミュレーションです。

非反転増幅回路の縦軸を利得、横軸を電圧にしたグラフの表示方法について解説します。

1. AC解析を実行後、回路図上のVinの信号源を右クリックすると、
Independent Voltage Sourceウィンドウが表示される。

2. AC Amplitudeに{Vx}と入力する。

振幅を変数に設定する方法

3. メニューの「Simulate」→「Edit Simulation Cmd」を選択すると、
Edit Simulation Commandウィンドウが表示される。

4. AC Analysisのタブで、Type of sweep:List、1st frequency:1kHzと設定する。

※この設定により、周波数が1kHzに固定されます。
周波数1kHzは一例なので、自分でシミュレーションするときは、
シミュレーションしたい周波数に変更してくだい。

周波数を固定する方法

5. メニューの「Edit」→「SPICE Directive」を選択すると、
Edit Text on the Schematicウィンドウが表示されるので、

.step param Vx 1 10 1

と入力する。

※この設定により、信号源Vinの電圧の振幅を1V~10Vまで、1Vステップで変化させることができます。

電圧をスイープする方法

6. メニューの「Simulate」→「Run」で、AC解析を実行する。

この方法で「縦軸を利得、横軸を電圧にしたグラフ」を表示できます。

シミュレーション結果のグラフの複数ポイントの数値を表⽰する⽅法

ローパスフィルタのAC解析シミュレーション

オペアンプを使用したローパスフィルタのAC解析シミュレーションです。

シミュレーション結果のグラフの複数ポイントの数値を表示する方法を解説します。

1. メニューの「Edit」→「SPICE Directive」を選択すると、
Edit Text on the Schematicウィンドウが表示されるので、以下のコマンドを入力する。
(このコマンドでローパスフィルタの最大値とカットオフ周波数が求められます。)

最大値とカットオフ周波数を計算するコマンド

2. メニューの「Simulate」→「Run」で、AC解析を実行する

3. シミュレーションを実行したファイル(.ascファイル)と
同じフォルダにあるlogファイルを開くと
最大値とカットオフ周波数が確認できる。

最大値とカットオフ周波数の計算結果

この方法で、

最大値:1.12695dB
カットオフ周波数:1126.92Hz(≒1.126kHz)

と測定できていることが分かります。

シミュレーション結果の数値を読み取る場合、

通常は、グラフ上にカーソルを合わせて、その値を読み取ることが多いと思います。

しかし簡単に確認することはできますが、

おおよその見当をつけたり、傾向を確かめる程度でしか確認できません。

.MESUREコマンドを使用すると、上図のように数値を読み取ることができます。

.MESUREコマンドは、ある区間の平均値、最大値、最小値、二乗平均、振幅、効率など

様々な値を読み取ることができますので、使い方を知っていると何かと便利です。

.MESUREコマンドについてより詳しく知りたい方は

」の第4章で詳しく説明されてますので、

参照してください。

LTspiceのAC解析の注意点

これまでシミュレーションしたように、

AC解析で求めるのは電圧値や電流値ではなく、回路図上の測定点の「利得」と「位相」です。

正確に言うと、

振幅比[dB](入力振幅に対する出力振幅の比)
位相差[deg](入力位相に対する出力位相の差)

といった相対量を求めています。

つまり信号源の入力を基準とした結果が表示されるため、

AC Amplitude:1
AC Phase:0

とすることが一般的です。

AC解析の振幅と位相の設定方法

この設定でRC回路のAC解析シミュレーションをしてみます。

振幅1のときのAC解析シミュレーション

回路図上の信号源には、「AC 1 0」と表示されており、

これは「AC Amplitude:1、AC Phase:0」という意味です。

AC Phase:0は未記入(空欄)でも構いません。

このとき回路図上には「AC 1」と記載されます。

そのため、「AC 1 0」を「AC10」と勘違いする人が稀にいます。

これは「AC Amplitude:10、AC Phase:未記入(空欄)」という意味なので、

シミュレーション結果が変わってしまいます。

試しにAC Amplitude:10、AC Phase:未記入(空欄)でシミュレーションしてみます。

振幅10のときのAC解析シミュレーション

シミュレーション結果のグラフからわかるように、振幅の利得が+20dB大きくなります。

逆に「AC Amplitude:0.1、AC Phase:未記入(空欄)」とした場合もみてみましょう。

振幅0.1のときのAC解析シミュレーション

振幅の利得が-20dB小さくなっていることが分かります。

このように、AC Amplitudeの設定を間違えると、

正しく設定したシミュレーション結果と異なるシミュレーション結果が表示されます。

間違った使い方というわけではないので、理解して設定しているのであれば問題ありません。

しかし、シミュレータはエラーとして教えてくれませんので、ご注意ください。

AC解析のグラフ表示のまとめ

・グラフの位相特性を削除する方法
縦軸の数値(位相)上で右クリックし、「Don’t plot phase」をクリックする。

・グラフの画面を別々に表示する方法
メニューの「Plot Settings」→「Add Plot Pane」でグラフを追加する。

・グラフで位相特性だけを表示する方法
メニューの「Plot Settings」→「Delete Active Pane」を選択し、利得特性のグラフを削除する。

・グラフの縦軸の範囲を変える方法
縦軸の数値上で右クリックし、Rangeの範囲を変更する。

・グラフの横軸を周波数[Hz]のまま、縦軸にインピーダンスやリアクタンスを表示する方法
グラフのタイトルを「V(in)/-I(V1)」に変更し、Representationを「Logarithmic」に変更する。

・グラフの縦軸を利得[dB]のまま、横軸に電圧や抵抗を表示する方法
AC解析の周波数を固定し、.stepコマンドで電圧をスイープする。

・グラフの値を正確に読み取る方法
.MESUREコマンドを実行してlogファイルを確認する。

より詳しくAC解析の設定やグラフ表示について知りたい方は

「電子回路シミュレータLTspice入門編」の第7章

「電子回路シミュレータLTspice実践入門」の第1章

「LTspiceで学ぶ電子回路」の第1章・第8章

を読むと理解が深まるでしょう。

LTspiceのAC解析の勉強になりますので、ぜひ読んでみてください。

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