- 太陽光発電のFIT制度とは何ですか?
- 固定価格買取制度の意味を教えてください。
- FIT終了後はどうすればよいですか?
こんな疑問にお答えします。
本記事を書いている私は、電気のプロ歴10年です。
今回は「太陽光発電のFIT制度」について解説します。
本記事でFIT制度を理解すると、FIT終了後にどうすれば良いか分かるようになりますよ。
5分で読めますので、ぜひ最後までご覧ください。
太陽光発電のFIT制度とは
太陽光発電のFIT制度とは、固定価格買取制度のことです。
FITとは、
Feed-in Tariff
の略称です。
Feed-in → 与える
Tariff → 決められた価格
という意味があります。
つまり、FIT制度とは
あらかじめ決められた価格を与える制度
ということであり、
あらかじめ決められた価格 → 固定価格
価格を与える → 買い取る
となるので、
固定価格買取制度
といいます。
固定価格買取制度
固定価格買取制度とは、簡単にいうと、
太陽光で発電した電気を、電力会社が「一定期間」「一定価格」で買い取ってくれる
ということです。
例えば、経済産業省のデータによると、以下の通りです。
(以下略)
出典:「令和5年度以降の調達価格等に関する意見 別紙1」(経済産業省)(https://www.meti.go.jp/shingikai/santeii/pdf/20230208_1.pdf)(2023年9月4日に利用)
上表では、
一定期間 → 調達期間
一定価格 → FIT調達価格
と、呼んでいます。
2022年度は、
一定期間(調達期間) → 10年間
一定価格(FIT調達価格) → 17円/kWh
となっており、電力会社が
10年間は、太陽光で1kWhを発電すれば、17円で買い取ってくれる
ということです。
2023年度は、
一定期間(調達期間) → 10年間
一定価格(FIT調達価格) → 16円/kWh
となっており、電力会社が
10年間は、太陽光で1kWhを発電すれば、16円で買い取ってくれる
ということです。
これが固定価格買取制度になります。
FIT制度が誕生した理由
FIT制度が誕生した理由は、再生可能エネルギーを普及させるためです。
近年、地球温暖化の影響により、自然災害が多発しています。
日本では、火力発電が多くの割合を占めているので、二酸化炭素(CO2)を出し続けています。
何とか二酸化炭素(CO2)を減らし、地球温暖化を避けたいところです。
太陽光発電は、再生可能エネルギーの1つであり、二酸化炭素(CO2)を出しません。
そのため「太陽光発電を普及していきたい」と考えたのですが、
大きなデメリットがあります。
それは、導入コストが高いことです。
一般の人が太陽光発電を始めるには、とてもお金がかかります。
- 発電設備を導入する費用
- 不具合が起きないようメンテナンスする費用
- 電力会社と接続するために工事する費用
太陽光発電を始めても
ただ赤字になるだけ・・・(泣)
だったら、誰もやらないですよね。
そこで、一般の人にとって、
- 将来、太陽光発電にかかった費用を回収できる
- さらに安定して利益を得ることができる
となるように、FIT制度ができたというわけです。
このような経緯が、次の売電価格(FIT調達価格)の決定に影響してきます。
FIT制度の売電価格推移
太陽光発電の売電価格(FIT調達価格)は、年々下がっています。
(前略)
①太陽光発電(10kW未満):
(参考)2021年度 (参考)2022年度 (参考)2023年度 2024年度 FIT調達価格 19円/kWh 17円/kWh 16円/kWh 16円/kWh (以下略)
出典:「令和5年度以降の調達価格等に関する意見 別紙1」(経済産業省)(https://www.meti.go.jp/shingikai/santeii/pdf/20230208_1.pdf)(2023年9月4日に利用)
その理由は、導入コストが下がっているからです。
太陽光パネルを大量生産できるようになったり、
技術が進んで、太陽光パネルを低価格でも買えるようになってきました。
つまり、導入コストが下がると、売電価格(FIT調達価格)も下がるわけですが、
これは適当に決めているわけではありません。
毎年度、経済産業大臣が売電価格を決めています。
具体的に言うと、
- 太陽光発電を始めるには、どのくらいの導入コストがかかるのか
- 売電価格をいくらにすれば、安定して利益が出るのか
- 発電量は平均でどれくらいなのか
など、これらを考慮して決めています。
もちろん経済産業大臣が、このような計算を行っているのではなく、
調達価格等算定委員会の意見を聞いて決めています。
この委員会の人たちは、これらの計算を適切にできる人たちで構成されています。
なので、
売電価格が下がってるから、今から始めるのは損では?
と考えるのは間違いです。
太陽光発電の調達期間
太陽光発電の調達期間についても、
どのくらいの期間、利益を得られれば良いか
ということを考慮して、適切な調達期間を決められます。
とはいっても、ずっと10年間のまま変化はないですね。
20年と聞いたこともあるのですが・・・
太陽光発電設備の出力が
10kW未満 → 調達期間10年
10kW以上 → 調達期間20年
ということです。
(以下略)
出典:「令和5年度以降の調達価格等に関する意見 別紙1」(経済産業省)(https://www.meti.go.jp/shingikai/santeii/pdf/20230208_1.pdf)(2023年9月4日に利用)
調達期間 → 10年間
10kW未満は、住宅用の太陽光発電です。
一般の人が、太陽光発電を導入する際は「住宅用」になるので、調達期間は10年になります。
(以下略)
出典:「令和5年度以降の調達価格等に関する意見 別紙2」(経済産業省)(https://www.meti.go.jp/shingikai/santeii/pdf/20230208_1.pdf)(2023年9月4日に利用)
調達期間/交付期間 → 20年間
10kW以上は、産業用の太陽光発電です。
工場などに、太陽光発電を導入する際は「産業用」になるので、調達期間は20年になります。
太陽光発電の事業計画認定と申請
誰でも発電した電気を買い取って貰えるのでしょうか?
太陽光で発電した電気を売ることは、1つの事業です。
そのため、事業計画を作成し、認定してもらう必要があります。
流れとしては、
まず、資源エネルギー庁が作成が作成している
「事業計画策定ガイドライン(太陽光発電)」に沿って、
事業計画を作成します。
次に、経済産業省に、WEBで事業計画認定の申請を行います。
そして、経済産業大臣から、その計画で発電事業をすることに問題ないという認定を貰います。
このような申請と認定が必要になります。
この辺の話は、少し難しくなってくるので、専門の業者に相談しながら進めていくと良いでしょう。
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※住宅用と産業用の蓄電池に対応しています。
FIT終了後は蓄電池を利用する【卒FITの対策】
FIT終了後は売電価格(調達価格)が下がるので、
蓄電池を利用して自家消費に切り替える方が良いです。
なぜなら、蓄電池を活用すると
- 電気料金の値上りの影響を受けにくい
- 電気料金の節約効果が上がる
- 停電対策に役立つ
というメリットがあるからです。
詳しくは、下記の記事を解説してますので参考にしてください。
太陽光で発電した電気を売ってから
住宅用なら10年、産業用なら20年経過することを「卒FIT」といいます。
卒FITになると、売電価格(調達価格)はとても下がります。
(以下略)
出典:「令和5年度以降の調達価格等に関する意見 別紙1」(経済産業省)(https://www.meti.go.jp/shingikai/santeii/pdf/20230208_1.pdf)(2023年9月4日に利用)
例えば、2022年度は
FIT調達価格 → 17円/kWh
調達期間終了後の売電価格 → 9.0円/kWh
となり、8円も下がっています。
このように住宅用の太陽光発電の場合、11年目以降の売電価格は大きく下がります。
これでは、安定して利益を得られないので、
FIT終了後(調達期間終了後)は、蓄電池を利用した方が良いですね。
蓄電池を利用するなら、一度、見積りを取ってみましょう。
見積りは無料なので、お気軽にどうぞ。
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まとめ
太陽光発電のFIT制度について解説しました。
固定価格買取制度、FIT制度が誕生した理由、卒FITの対策など、理解できたでしょうか?
余談ですが「余剰電力買取制度」という言葉があります。
これは2009年11月~2012年7月まで実施されていた「FIT制度の前身」です。
2012年7月以降にFIT制度に統合されました。
覚えておいて損はないでしょう。
本記事が少しでもお役に立てば幸いです。
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