電子工作でLEDのイルミネーションを自作したい。LEDが一個ずつ点灯する回路を教えてください
また、簡単に装飾できるおすすめのイルミネーションライトも知りたいです。
このような質問にお答えします。
私は電子回路設計歴が約10年。
電子回路設計の仕事では、
LEDを光らせる
LEDを消す
これらの動作を繰り返すことをやります。
その経験に基づいて、電子工作でLEDのイルミネーション方法に関して解説します。
電子工作で複数のLEDを点灯する方法
複数のLEDを点灯するには、LEDを「直列に接続する方法」と「並列に接続する方法」があります。
電子工作で複数のLEDを点灯するには、並列に接続する方法がオススメです。
なぜなら、低い電圧の電源でLEDを点灯できるからです。
具体的にメリット、デメリットを見てみましょう。
直列接続 | 並列接続 | |
メリット | 抵抗が1個で済む 電流の合計値が増えない | 低い電圧の電源で点灯できる 1個ずつLEDを点灯できる |
デメリット | 高い電圧の電源が必要になる 1個ずつLEDを点灯できない | LEDと同じ数の抵抗が必要 電流の合計値が増える |
複数のLEDを直列に接続する方法
I(Led1) 青色:
回路図のLED1に流れる電流
I(Led8) 赤色:
回路図のLED8に流れる電流
グラフ(上):
電源電圧48V → LED1, LED8の電流:5.0mA
グラフ(中):
電源電圧24V → LED1, LED8の電流:0.1mA
グラフ(下):
電源電圧12V → LED1, LED8の電流:0.0mA
LEDを8個直列に接続したときのシミュレーションです。
LEDは日亜化学工業の白色LED(型番:NSPW500BS)です。
なお、シミュレーションは電子回路シミュレータLTspiceを使用しています。
LEDに5mA流すことを考えます。
5mAを流した時、白色LED(NSPW500BS)の標準仕様書の「順電圧-順電流特性」のグラフより、
LEDの順方向の電圧は3.2Vぐらいです。
よって、LEDが8個あるので、
3.2V × 8個 = 25.6V
この電圧より大きい電源電圧が必要となります。
シミュレーション結果を見ると、12V, 24Vのときはほとんど電流が流れていない、
つまりLEDは点灯していません。
48Vのときは、5.0mA流れているので、LEDは点灯しています。
高い電圧の電源を供給できるのであれば、LEDを「直列に接続する方法」で問題ありません。
しかし、電子工作では3.3Vや5V、12Vなどの低い電圧が多いと思います。
そのような場合は次に解説する「並列に接続する方法」でLEDを点灯します。
複数のLEDを並列に接続する方法
I(Led1) 青色:
回路図のLED1に流れる電流
I(Led8) 緑色:
回路図のLED8に流れる電流
I(LED1)+I(LED2)+・・・+I(LED8) 赤色:
回路図のLED1~LED8に流れる電流の合計値
LEDを8個直列に接続したときのシミュレーションです。
この場合もLEDに5mA流すとすると、白色LED(NSPW500BS)の順方向電圧は3.2Vぐらいなので、
電源電圧は3.2V以上必要となります。
ここでは電子工作でも良く使う5Vにします。
抵抗値は
(5V – 3.2V) / 5mA = 360Ω
になります。
なお、LEDの抵抗の決め方が良くわからないという方は、
下記の記事で解説していますので参考にしてください。
» 電子工作でLEDの抵抗を決める4つの手順【LEDの明るさ制御も解説】
シミュレーション結果のI(Led1), I(Led8)を見てみると、LED1, LED8に流れる電流は5.5mAです。
つまり、LEDは点灯しています。
このように、LEDを並列に接続すると、低い電圧の電源でもLEDを点灯することができます。
なので、電子工作で複数のLEDを使う場合は並列に接続する方をオススメします。
よくある質問1:抵抗を1つにすることはできないのですか?
LEDを並列に接続する場合、個々のLEDに対して抵抗を用意することをオススメします。
理由としては、各LEDの順方向電圧のばらつきを吸収できるからです、
言い換えると、各LEDの明るさを均一にできるからです。
注意点1:電流の合計値に気を付ける
LED1個に流れる電流は5.5mAですが、並列に接続すると、
シミュレーション結果のグラフ(赤色)のように44.0mAも流れます。
このぐらいであれば問題ないと思いますが、
世の中にはパワーLEDなどのように、LED1個で300mAも必要とするものもあります。
例えば、配線(ワイヤー)には許容電流があり、LEDを数多く使用して、この許容電流を超えてしまうと、
配線が異常に発熱して溶ける危険性もあるので、電流の合計値が許容電流を超えないように注意しましょう。
電子工作でLEDを順番に点灯するイルミネーション
複数のLEDを並列に接続すると、各LEDの点灯・消灯を1個ずつ制御できるというメリットもあり、
きれいなイルミネーションを実現できます。
具体的には以下の通りです。
I(Led1) 青色:
回路図のLED1に流れる電流
I(Led2) 緑色:
回路図のLED2に流れる電流
︙
I(Led7) 青色:
回路図のLED7に流れる電流
V(clk) 紫色:
タイマーIC(NE555)から出力したクロック。2秒周期。Duty 50%。
LED1~LED7までを順番に点灯したシミュレーションです。
タイマーICから2秒周期(Duty 50%)のクロックを、8bitシフトレジスタ(74HC164)に入力しています。
これにより、Q0~Q7の出力が、1クロックごとにLow→Highへと切り替わり、LED1~7に電流が流れます。
シミュレーション結果を見ると、
LED1~7に流れる電流が、1クロックごとに0.0mA→5.0mAへ変化しているのが分かります。
つまり、以下のように順番に1個ずつ点灯しているということです。
◍=点灯〇=消灯
◍○○○○○○
↓
◍◍○○○○○
↓
◍◍◍○○○○
↓
◍◍◍◍○○○
↓
◍◍◍◍◍○○
↓
◍◍◍◍◍◍○
↓
◍◍◍◍◍◍◍
なお、8bitシフトレジスタ(74HC164)の8bit目(Q7)を、シュミットインバータ(74HC14)を経由して、
クリア端子(MR)に接続することで、上記の点灯をループさせる(繰り返す)ことができます。
シミュレーション結果を見ると、17秒直前で全LEDの電流が5.0mA → 0.0mAに変化し、
その後、LED1~7に流れる電流が、1クロックごとに0.0mA→5.0mAへ変化しているのが分かります。
つまり、順番にLEDが点灯する動作を繰り返しているということです。
特に繰り返す必要がなく、1度だけ順番に点灯したい場合は、
8bitシフトレジスタ(74HC164)の8bit目(Q7)を、クリア端子(MR)に接続しなければ良いです。
このとき、8bit目(Q7)は未使用ピンになるので、ここにもう1個LEDを追加しても良いでしょう。
また、点灯する間隔を調整したい場合は、
タイマーIC(NE555)から出力しているクロック(PWM)の周期を調整する必要があります。
この方法に関しては下記の記事で解説しています。
» 電子工作でLEDを点滅する方法【電子ホタルの点滅方法も解説】
以下は、LEDを1個ずつ順番に点灯している動画です。
可変抵抗でLEDの点灯する間隔を調整できることが分かります。
よくある質問1:もっと数多くのLEDを点灯したいです
8bitシフトレジスタ(74HC164)を増やせば、数多くのLEDを順番に点灯できます。
具体的には以下の通り。
I(Led1) 赤色:
回路図のLED1に流れる電流
I(Led2) 青色:
回路図のLED2に流れる電流
︙
I(Led14) 青色:
回路図のLED14に流れる電流
V(clk) 緑色:
タイマーIC(NE555)から出力したクロック。2秒周期。Duty 50%。
8bitシフトレジスタ(74HC164)を、もう1つ追加したときのシミュレーションです。
1つ目の8bitシフトレジスタ(74HC164)の8bit目(Q7)を、
2つ目の8bitシフトレジスタ(74HC164)に入力しています。
これにより、それぞれのQ0~Q7の出力が、1クロックごとにLow→Highへと切り替わり、
LED1~14に電流が流れます。
シミュレーション結果を見ると、LED1~14に流れる電流が、
1クロックごとに0.0mA→5.0mAへ変化しているのが分かります。
つまり、以下のように順番に1個ずつ点灯しているということです。
◍=点灯〇=消灯
◍○○○○○○○○○○○○○
↓
◍◍○○○○○○○○○○○○
↓
◍◍◍○○○○○○○○○○○
↓
◍◍◍◍○○○○○○○○○○
↓
◍◍◍◍◍○○○○○○○○○
↓
◍◍◍◍◍◍○○○○○○○○
↓
◍◍◍◍◍◍◍○○○○○○○
↓
◍◍◍◍◍◍◍◍○○○○○○
↓
◍◍◍◍◍◍◍◍◍○○○○○
↓
◍◍◍◍◍◍◍◍◍◍○○○○
↓
◍◍◍◍◍◍◍◍◍◍◍○○○
↓
◍◍◍◍◍◍◍◍◍◍◍◍○○
↓
◍◍◍◍◍◍◍◍◍◍◍◍◍○
↓
◍◍◍◍◍◍◍◍◍◍◍◍◍◍
このように、8bitシフトレジスタ(74HC164)を増やせば、LEDの数も増やすことができます。
よりきれいなイルミネーションを実現することができるのです。
電子工作でLEDを1個ずつ順次点灯するイルミネーション
LEDを順番に点灯するだけでなく、1個ずつ順次点灯するイルミネーションも実現できます。
具体的には以下の通り。
I(Led1) 朱色:
回路図のLED1に流れる電流
I(Led2) 紫色:
回路図のLED2に流れる電流
︙
I(Led10) 青色:
回路図のLED10に流れる電流
V(clk) 緑色:
タイマーIC(NE555)から出力したクロック。2秒周期。Duty 50%。
LED1~LED10までを1個ずつ点灯したシミュレーションです。
タイマーICから2秒周期(Duty 50%)のクロックを、カウンタ(74HC4017)に入力しています。
これによりQ0~Q9の出力が、1クロック分だけHighへと切り替わり、LED1~10に電流が流れます。
シミュレーション結果を見ると、LED1~10に流れる電流が、
順番に1クロック分だけ5.0mAへ変化しているのが分かります。
つまり、以下のように順番に1クロック分だけ点灯しているということです。
◍=点灯〇=消灯
◍○○○○○○○○○
↓
○◍○○○○○○○○
↓
○○◍○○○○○○○
↓
○○○◍○○○○○○
↓
○○○○◍○○○○○
↓
○○○○○◍○○○○
↓
○○○○○○◍○○○
↓
○○○○○○○◍○○
↓
○○○○○○○○◍○
↓
○○○○○○○○○◍
上記の点灯を繰り返します。(ループします。)
シミュレーション結果を見ると、LED1から10まで順番に5mA流れた後、
またLED1から10まで順番に5mA流れているのが分かります。
このように、LEDを1個ずつ順次点灯するイルミネーションも実現できます。
以下は、タイマーICと74HC4017で順次点灯している動画です。
実際に1個ずつ順次点灯できているのが分かります。
簡単に装飾できるおすすめのイルミネーションライト
これまで、LEDのイルミネーション方法について解説しました。
1から作るのが手間と感じる方には、以下のイルミネーションライトをおすすめします。
点灯パターンが8種類もあり、リモコンで点灯モードを簡単に切り替えることができるので便利です。
- 連続点灯
- 波状点灯
- 点滅点灯
- ちらつき点灯
- 急速点灯
- 低速点灯
- ドリーム点灯
- 固定点灯
また、カラフルなイルミネーションを実現したいという方には、以下のイルミネーションライトがおすすめです。
こちらも色々な点灯パターンがあります。
ぜひLEDのイルミネーションを楽しんでください!