電子工作でLEDを点滅する方法【電子ホタルの点滅方法も解説】

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電子工作でLEDを点滅する回路を組んでみたい。

最も簡単にできる回路を教えてください。

また、ホタルのようにボヤっと光りボヤっと消える回路も知りたいです。

このような疑問にお答えします。

目次

私は電子回路の設計を約10年やっています。

電子回路設計の業務では、ほぼ全ての製品といっていいほど、LEDが使用されています。

電子工作でLEDを点滅する方法に関して、経験から解説したいと思います。

電子工作でLEDを点滅する方法

結論からいいますと、タイマーICを使用してLEDを点滅する方法がオススメです。

なぜなら、簡単に回路を作成でき、点滅する間隔も簡単に調整できるから。

具体的に解説します。

1秒間隔でLEDを点滅する電子回路

V(Vout) 青色:回路図のOUTの電圧。タイマーIC(NE555)から出力されるPWM信号。
I(Led) 赤色:回路図のLEDに流れる電流。

周波数 f:
f = 1.44 / {(R1 + 2×R2) × C2}

周期 T:
T = 1 / f

PWM信号のDuty:
Duty = 1 – R2 / (R1 + 2×R2 )

タイマーICからPWM信号(パルス信号)を出力したシミュレーションです。

電子回路シミュレータLTspiceを使ってシミュレーションしています。

計算結果は以下の通りです。

R1 = 10kΩ
R2 = 140kΩ
C2 = 10uF

なので、上式より、

周波数 f:
f = 1.44 / {(10k + 2×100k) × 10u} ≒ 0.50 [Hz]

周期 T:
T = 1 / f = 1 / 0.50 = 2.0 [s]

PWM信号のDuty:
Duty = 1 – 100k / (10k + 2×100k ) ≒ 0.52 = 52 [%]

周期 T = 2.0 [s]、Duty = 52 [%] なので、タイマーIC(NE555)から出力されるPWM信号が、

理論的には、ほとんど1秒間隔でONとOFFを繰り返すことが分かります。

※Dutyは1周期当たりのON時間。つまり、ON時間 = 2.0 [s] × 0.52 = 1.04 [s] ということ。

シミュレーション結果を見ると、V(out)の信号が、

ほとんど1秒間隔でON/OFFを繰り返していることが分かります。

また、LEDに流れる電流I(Led)から、1秒間隔で電流が流れたり、止まったりしているのが分かります。

つまり、1秒間隔で点灯と消灯を繰り返してしるのが分かります。

計算結果とほぼ一致していますね。

補足1:LEDの点滅する間隔を変える方法

抵抗R2の値を変えることで、LEDの点滅する間隔を変えることができます。

具体的には以下の通り。

R2を220kΩに変えたときの計算結果とシミュレーション結果を見てみます。

・計算結果

R1 = 10kΩ → そのまま
R2 = 140kΩ → 220kΩ
C2 = 10uF → そのまま

周波数 f:
f = 1.44 / {(10k + 2×220k) × 10u} ≒ 0.32 [Hz]

周期 T:
T = 1 / f = 1 / 0.50 = 3.1 [s]

PWM信号のDuty:
Duty = 1 – 220k / (10k + 2×220k ) ≒ 0.51 = 51 [%]

よって、ON時間 = 3.1 [s] × 0.51 = 1.58 [s] なので、理論的には、約1.5秒間隔でONとOFFを繰り返します。

・シミュレーション結果

1.5秒間隔でLEDを点滅する電子回路

V(out)の信号が、ほとんど1.5秒間隔でON/OFFを繰り返しており、

LEDに流れる電流I(Led)も、1.5秒間隔で電流が流れたり、止まったりしています。

つまり、1.5秒間隔で点灯と消灯を繰り返してしるのが分かります。

R2 = 220kΩ のときも計算結果とほぼ一致していますね。

R2を430kΩに変えたときの計算結果とシミュレーション結果も見ておきましょう。

・計算結果

R1 = 10kΩ → そのまま
R2 = 140kΩ → 430kΩ
C2 = 10uF → そのまま

周波数 f:
f = 1.44 / {(10k + 2×430k) × 10u} ≒ 0.16 [Hz]

周期 T:
T = 1 / f = 1 / 0.50 = 6.0 [s]

PWM信号のDuty:
Duty = 1 – 430k / (10k + 2×430k ) ≒ 0.51 = 51 [%]

よって、ON時間 = 6.0 [s] × 0.51 = 3.01 [s] なので、理論的には、約3.0秒間隔でONとOFFを繰り返します。

・シミュレーション結果

3秒間隔でLEDを点滅する電子回路

V(out)の信号が、ほとんど3.0秒間隔でON/OFFを繰り返しており、

LEDに流れる電流I(Led)も、3.0秒間隔で電流が流れたり、止まったりしています。

つまり、3.0秒間隔で点灯と消灯を繰り返してしるのが分かります。

R2 = 430kΩ のときも計算結果とほぼ一致していますね。

このように、抵抗R2の値を大きくしていくと、LEDの点滅の間隔を大きくしていくことができます。

なので、抵抗R2を変えるだけで、LEDの点滅する間隔を変えることができるので、

タイマーICを使用してLEDを点滅する方法がオススメです。

補足2:LEDの点滅する間隔を簡単に調整する方法

可変抵抗器を使いましょう。

抵抗R2を可変できる抵抗器にしてしまえば簡単に調整できます。

LEDの点滅する間隔を「どのくらいの間隔にすればよいのか?」は、

結局のところ、計算した値で決めるのではなく、人が目で見て

「このぐらいの間隔でLEDが点滅するのが丁度良いかなぁ」

という風に決めると思います。

抵抗R2を可変抵抗器にしておけば、人の目で見ながら、

可変抵抗器のつまみを少しずつ回して、丁度良いところに調整することができます。

つまり、わざわざ計算しないでもLEDの点滅する間隔を最適なところに調整できるのです。

なので、可変抵抗器を使うと楽に調整できるのでオススメです。

以下では、タイマーIC(NE555)でLEDを点滅するときに可変抵抗器で調整している動画です。

可変抵抗器でLEDの点滅間隔を調整できていることが分かります。

電子工作で2個のLEDを交互に点滅する方法

トランジスタによる非安定マルチバイブレータ回路を利用しましょう。

理由は、回路構成が簡単だからです。

具体的には以下の回路になります。

1.5秒間隔で2個のLEDを交互に点滅する電子回路

I(Led1) 青色:回路図のLED1に流れる電流
I(Led2) 赤色:回路図のLED2に流れる電流

LED1に電流が流れる時間(ON時間):0.693 × R3 × C2
LED2に電流が流れる時間(ON時間):0.693 × R2 × C1

非安定マルチバイブレータ回路のシミュレーションです。

電子回路シミュレータLTspiceを使ってシミュレーションしています。

計算結果は以下の通りです。

R2 = 47kΩ
R3 = 47kΩ
C1 = 47uF
C2 = 47uF

なので、上式より、

LED1に電流が流れる時間(Tr1のON時間):
0.693 × R3 × C2 = 0.693 × 47k × 47u = 1.53 [s]

LED2に電流が流れる時間(Tr2のON時間):
0.693 × R2 × C1 = 0.693 × 47k × 47u = 1.53 [s]

非安定マルチバイブレータ回路は、

LED1に電流が流れる時間(Tr1のON時間)は、LED2に電流が流れなくなり(Tr2がOFFになり)、
LED2に電流が流れる時間(Tr2のON時間)は、LED1に電流が流れなくなる(Tr1がOFFになる)、

という関係にあります。

シミュレーション結果を見ると、I(Led1)とI(Led2)の電流が、

約1.5秒間隔でON/OFFを繰り返していることが分かります。

また、

LED1に電流が流れるときは、LED2に電流が流れず
LED2に電流が流れるときは、LED1に電流が流れていない

ということが分かります。

つまり、LED1とLED2が交互に点滅しているということです。

また、点灯している時間も計算結果とほぼ一致していますね。

以下は、非安定マルチバイブレータ回路でLEDを点滅している動画です。

交互に点滅していることが分かります。

補足1:2個のLEDを交互に点滅する時間を調整する方法

結論から申しますと、抵抗R2とR3の値を変えることです。

先程も説明しましたが、

LED1に電流が流れる時間(ON時間):0.693 × R3 × C2
LED2に電流が流れる時間(ON時間):0.693 × R2 × C1

で計算できます。

つまり、抵抗R2とR3を可変抵抗器にすれば、

LED1とLED2が点灯する時間(電流が流れる時間)を調整できます。

試しに、抵抗R2とR3の値を68kΩに変更してみます。

・計算結果

R2 = 47kΩ → 68kΩ
R3 = 47kΩ → 68kΩ
C1 = 47uF → そのまま
C2 = 47uF → そのまま

LED1に電流が流れる時間(Tr1のON時間):
0.693 × R3 × C2 = 0.693 × 68k × 47u = 2.21 [s]

LED2に電流が流れる時間(Tr2のON時間):
0.693 × R2 × C1 = 0.693 × 68k × 47u = 2.21 [s]

よって、LED1とLED2は、理論的には、約2.2秒間隔でONとOFF(点灯と消灯)を交互に繰り返します。

・シミュレーション結果

2.2秒間隔で2個のLEDを交互に点滅する電子回路

LED1、LED2に流れる電流I(Led1)、I(Led2)も、約2.2秒間隔で交互に電流が流れたり、止まったりしています。

つまり、2.2秒間隔で交互に点灯と消灯を繰り返してしるのが分かります。

点灯している時間は、R2 = 68kΩ、R3 = 68kΩのときも計算結果とほぼ一致していますね。

このように、抵抗R2とR3の値を変えることで、

LED1とLED2が点灯する時間(電流が流れる時間)を調整することができます。

以下は、可変抵抗器でLEDが交互に点滅する間隔を調整している動画です。

交互に点滅している間隔が変わっていることが分かります。

LEDを電子ホタルのように点滅する方法

マイコンを使ったPWM制御がオススメです。

PWMのDuty比(ON時間の長さ)によって、LEDの明るさを制御することができます。

この理由については、以下の記事の「電子工作でLEDの明るさを変化させる方法」に記載していますので、

あわせてご覧ください。

» 電子工作でLEDの抵抗を決める4つの手順【LEDの明るさ制御も解説】

LEDを電子ホタルのように点滅する電子回路

V(gate) 青線:回路図のGateの電圧
I(Led) 赤線:回路図のLEDに流れる電流

Duty比 = Hの時間 / 周期T

上図では、

Duty比 = 2ms / 4ms = 0.5 = 50.0 [%]

となります。

マイコンで、このDuty比を、0.0 [%] → 100.0 [%] までゆっくりと大きくしていくと、

少しずつLEDが明るくなります。

逆に、100.0 [%] → 0.0 [%]までゆっくりと小さくしていくと、少しずつLEDが暗くなっていきます。

この動作を交互に繰り返すことで、

LEDがホタルのようにボヤっと光りボヤっと消灯するように見せることができます。

なので、マイコンを使ったPWM制御がオススメです。

以下では、ArudinoでPWM制御を行い、LEDの明るさをゆっくりと変化させている動画です。

ボヤっと光りボヤっと消灯しているのが分かります。

電子工作で一瞬だけLEDを点滅する方法

C接点のトグルスイッチを使えば、スイッチを入れた瞬間だけLEDを点灯させることできます。

具体的には以下の通り。

一瞬だけLEDを点滅する電子回路

V(pulse) 青線:回路図のPULSEの電圧
V(charge) 緑線:回路図のChargeの電圧
I(Led) 赤線:回路図のLEDに流れる電流

0~3s:
電源電圧からコンデンサC1, C2に充電。グラフのV(charge)を参照。

3s:
電圧源V3からPULSE信号を入力し、スイッチを切り替える。グラフのV(pulse)を参照。

3~10s:
コンデンサC1, C2からLEDに放電。グラフのI(Led)を参照。

上記の動作により、LEDには一瞬5.0mA流れ、約1秒間は2.5mAまで流れているので、

一瞬だけ点灯させることができます。

なお、上記は電子回路シミュレータLTspiceを使用しているので、

シミュレータにデフォルトで用意されているADG1236のスイッチを使用していますが、

実際の回路では、C接点のトグルスイッチを使って、手動でスイッチを切りかえれば、

同じようにできると思います。

まとめ

今回は、電子工作でLEDを点滅する方法を解説しました。

初心者の方は、1から回路を作るよりも、

まずはキットを組み立てて動作を確認することから始めると学習効率も上がると思います。

そんな方には以下のキットがおすすめです。

ぜひ活用してみてください。

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