- 電子回路の勉強をしたいけど、おすすめの工作キットはないかな。
- 電子回路の本だけを読んで勉強しても難しい。
説明書に原理や解説が載っている工作キットはないかな。
このように工作キットで電子回路を勉強したいと考えている方に、
「キットで遊ぼう電子回路」の利用を紹介します。
電子回路の勉強方法は、工作キットで動作実験をしながら理論を勉強する
電子回路の設計や工作ができる人は、どのように電子回路の勉強をしているでしょうか?
その勉強プロセスは、2通りに分かれます。
- 電子回路理論をしっかりと勉強した後、電子回路を設計し、回路の動作実験を行う。
- まずは電子回路の工作キットなどで動作実験を行い、後から理論的な裏付けを行う。
一般的には「1」の勉強プロセスが多いかもしれません。
しかし初心者の方が「1」の勉強プロセスで始めると、
電子回路の理論が難しく感じ、途中であきらめてしまう可能性が高いです。
つまり、電子回路がわからない初心者の方は「1」の勉強プロセスではなく、
電子回路の動作実験から始める「2」のプロセスで勉強すると良いでしょう。
キットで遊ぼう電子回路で勉強するメリット
キットで遊ぼう電子回路とは、株式会社アドゥインから発売された電子回路の工作キットです。
電子回路の動作実験をしながら理論を勉強できます。
キットで遊ぼう電子回路の特徴を上げてみます。
- 電子部品が用意されているため、自分で用意する必要がない。
- ブレッドボード(※)を使用しているため、はんだ付けが不要である。
(少しだけはんだ付けが必要。詳細は後述します。) - 電子回路と電子部品について丁寧な原理や解説が記載されたテキスト付きなので、
電子工作と同時に理論や原理を勉強できる。
電子部品が用意されており、はんだ付けがほとんど不要なので、効率的に勉強できます。
キットで遊ぼう電子回路 基本編 vol.1 で勉強してみる
実際に「キットで遊ぼう電子回路 基本編vol.1」で勉強してみます。
LED点灯回路
赤色LEDの点灯回路と動作実験です。LEDが点灯していることが分かります。
キットで遊ぼう電子回路のテキストでは、
赤色LEDの点灯を、抵抗やLEDの電圧・電流を測定しながらオームの法則を用いて解説しています。
電子回路の工作キットで、動作実験をしながら電子回路の理論を勉強できるのです。
また、テキストの抵抗R1の値は220Ωとなっています。
なぜ220Ωなのでしょうか?検討してみましょう。
左の写真から、抵抗R1の値を1kΩ、10kΩ、100kΩ、1MΩとしたときの動作実験です。
徐々に赤色LEDの点灯が弱くなっていることが分かります。
これは抵抗値が大きくなることによって、LEDに流れる電流が少なくなっているためです。
テキストでは可変抵抗器で同様の実験を行い、オームの法則で丁寧に解説されています。
220Ωの時ほどではありませんが、1kΩや10kΩの時でも十分に点灯しているように見えます。
この実験結果から何が言えるでしょうか?
それは絶対に220Ωである必要はないということです。
抵抗値が220Ωや1kΩで、LEDが明るい(眩しい)と感じれば10kΩにすればよく、
10kΩや100kΩで暗いと感じれば、220Ωや1kΩにすればよいのです。
つまり、回路を設計した人が決めるだけの話であって、絶対的な正解はないということです。
テキストでは、たまたま220Ωが選定されていたのではないかと思います。
(または、直列に可変抵抗器を接続する実験があるので、なるべく小さい値にしたのかもしれません。)
このように、キットで学ぼう電子回路では、抵抗値を変えたりして勉強することもできます。
LEDを利用した論理回路(OR回路)
赤色LEDを用いたOR回路の動作実験です。
1枚の写真の中にLEDは3個あり、左からLED1、LED2、LED3とします。
左の写真から、
LED1:点灯 LED2:点灯 LED3:点灯
LED1:消灯 LED2:点灯 LED3:点灯
LED1:点灯 LED2:消灯 LED3:点灯
LED1:消灯 LED2:消灯 LED3:消灯
となっており、「点灯=H、消灯=L」とすると、
OR回路の真理値表
H | H | H |
L | H | H |
H | L | H |
L | L | L |
と一致することが分かります。
キットで学ぼう電子回路のテキストでは、OR回路の回路図と動作原理も記載されており、
電子回路の動作実験と同時に、原理を勉強できます。
またAND回路についても同様の電子回路の動作実験や、回路図と動作原理が記載されています。
LEDを利用したCR回路
赤色LEDを利用したCR回路と動作実験です。
一番右の写真ではLEDが点灯していますが、
これはスイッチを押した瞬間だけ点灯し、すぐに消灯してしまいます。
この理由については、
2つのコンデンサ(C1、C2)の両端電圧:Vc
電源電圧(V1):E
任意の時間:t
としたとき、
Vc = E×(1-exp(-t/RC))
という数式で解説されます。
詳細はキットで遊ぼう電子回路のテキストで詳しく解説されています。
実際に工作キットで電子回路(CR回路)を動作させながら、理論を勉強してみてください。
以上のように、キットで遊ぼう電子回路では、
電子回路の動作実験をしながら、理論や原理を勉強することができます。
キットで遊ぼう電子回路 基本編 vol.1 で用意しておくもの
キットで遊ぼう電子回路は、はんだ付けが少しだけ必要です。
はんだ付けが必要な部品は、
「電池ケース」「可変抵抗器」「トグルスイッチ」「DCモータ」「スピーカ」です。
(基本編 vol.1では「可変抵抗器」と「トグルスイッチ」だけはんだ付けすれば良いです。)
これを機に「はんだごて」「はんだ」「はんだごてスタンド」を購入してはいかがでしょうか?
また、電圧・電流を測定するためには「デジタルマルチメーター」も必要になります。
オススメのデジタルマルチメーターも紹介します。
抵抗値を変えて実験したい方は、「抵抗器」も購入すると、実験の幅が広がると思います。
キットで遊ぼう電子回路 基本編 vol.2 での勉強もおすすめ
「キットで遊ぼう電子回路 基本編vol.1」では、
LEDやCR回路など、基本的な電子回路の動作実験と理論を勉強できました。
次のステップとして、電子回路に欠かすことのできない「トランジスタ」を勉強すると良いでしょう。
「キットで遊ぼう電子回路 基本編vol.2」では、
トランジスタを利用して様々な回路の動作実験と理論の勉強ができますので、
引き続き、基本編 vol.2で勉強することをおすすめします。
ぜひキットで遊ぼう電子回路を利用して、電子回路を勉強してみてください。