- LTspiceで部品モデルは見つかったけど、回路図のシンボルがない
- LTspiceでシンボルを作成する方法を知りたい
このように、
せっかくSPICEモデルはあるのに、回路図のシンボルがないからシミュレーションできない・・・
そんな経験ありませんか?
そんな方に、LTspiceでシンボルを作成する方法について解説します。
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LTspiceでシンボルを作成する方法は2つある
LTspiceでシンボルを作成する方法は、「手動で作成する方法」と「自動で作成する方法」の2つあります。
手動で作成する方法は、
回路図のシンボルの絵を描く
↓
部品モデル(SPICEモデル)と一致するように、シンボルのピン番号を入力する
↓
部品モデルと紐づける
という手順で作成します。
そんなに難しくはありませんが、ちょっと手間がかかります。
「自動で作成する方法」ならば、それらを自動でやってくれるので非常に楽です。
ここでは、以下の2つを例に「自動で作成する方法」で解説します。
- 電源IC(TPS63030)のシンボルを作成する
- 4回路入りオペアンプ(NJU7044)のシンボルを作成する
電源ICのシンボルを作成しシミュレーションする
電源IC TPS63030 でシンボルを自動で作成し、シミュレーションします。
まずはTEXAS INSTRUMENTS社のウェブサイトから部品モデル(spiceモデル)をダウンロードします。
>> Texas Instruments社のウェブサイトはこちら(TPS63030)
下にスクロールしていくと、「設計ツールとシミュレーション」のところに
「TPS63030 Unencrypted PSpice Transient Model Package (Rev. A)」があるので、
『ダウンロード』をクリックします。
PSPICE Modelと記載されていますが、LTspiceでも使えますのでダウンロードしてください。
電源IC(TPS63030)のシンボルを作成する
ダウンロードしたファイルの中には色々な拡張子のデータがあります。
LTspiceでは、この中の「TPS63030_TRANS.LIB」ファイルを使用します。
自分のPCの「ドキュメント」フォルダ内に
LTspiceXVII → lib → subフォルダ
があります。
このsubフォルダに「mylib」フォルダを作成し、
その中にダウンロードした「TPS63030_TRANS.LIB」ファイルを入れます。
次に「TPS63030_TRANS.LIB」ファイルをLTspiceで開きます。
(必ず「mylib」フォルダに入れてから、LTspiceで開いてください。)
下に少しスクロールして、
.SUBCKT TPS63030_TRANS ~~~~
の上にカーソルを持っていき、右クリックで「Create Symbol」を選択します。
すると、「自動的にシンボルを作成しますか?」と問われるので
「はい」をクリックすると、シンボルが自動的に作成できます。
なお、作成されたシンボルファイルは、
ドキュメント → LTspiceXVII → lib → symフォルダ内に
「AutoGenerated」フォルダができているので、その中にあります。
電源IC(TPS63030)のシミュレーションを実行する
LTspiceを起動し、
メニュー → File → New Schematic
で回路図を新規作成します。
メニュー → Edit → Component
で Select Component Symbolウインドウを開きます。
[AutoGenereated]をダブルクリックすると、
先程、自動生成したシンボルがあるので、それを選択して、OKをクリックします。
シンボルを配置し、以下のように回路図を作成します。
回路図「IN」の電圧波形:V(in)の信号(青線)
回路図「OUT」の電圧波形:V(out)の信号(赤線)
3.3Vを出力する回路になっています。
実際に電源IC TPS63030 に、5Vが入力され3.3Vを出力しています。
なので、作成した電源IC TPS63030のシンボルは正常に動作しているということが分かります。
このように、LTspiceにシンボルがあらかじめ用意されてなくても、
部品モデル(spiceモデル)から簡単に作成し、シミュレーションすることができるのです。
補足1:途中で作成した「mylib」フォルダは必要ですか?
途中で作成した「mylib」フォルダはなくても良いですが、あった方が良いでしょう。
「mylib」フォルダを作成した理由は、追加した部品モデル(spiceモデル)を管理しやすくするためです。
ドキュメント → LTspiceXVII → lib → subフォルダ内に
「TPS63030_TRANS.LIB」ファイルを入れても良いのですが、
「自分で追加したもの」と「あらかじめ用意されているもの」が混ざってしまい、区別できなくなります。
自分で追加した部品モデルを「mylib」フォルダに入れる習慣を作っておくと、
PCを移行するときに「mylib」フォルダだけコピーすれば良いので、後々の管理が楽になります。
4回路入りオペアンプのシンボルを作成しシミュレーションする
4回路入りオペアンプ NJU7044 のシンボルを自動で作成し、シミュレーションします。
まずは新日本無線のウェブサイトから部品モデル(spiceモデル)をダウンロードします。
少し下にスクロールすると、「設計ツール」のところに「NJU7044 マクロモデル」があるので、
クリックしてダウンロードします。
オペアンプ(NJU7044)のシンボルを作成する
ダウンロードしたファイルの中の「nju7044_v2.lib」ファイルを
ドキュメント → LTspiceXVII → lib → subフォルダ内に作成した「mylib」フォルダに入れます。
次に「nju7044_v2.lib」ファイルをLTspiceで開きます。
(必ず「mylib」フォルダに入れてから、LTspiceで開いてください。)
下に少しスクロールして、
.Subckt NJU7044 ~~~~
の上にカーソルを持っていき、右クリックで「Create Symbol」を選択します。
すると、「自動的にシンボルを作成しますか?」と問われるので
「はい」をクリックすると、シンボルが自動的に作成できます。
なお、作成されたシンボルファイルは、
ドキュメント → LTspiceXVII → lib → symフォルダ内の
「AutoGenerated」フォルダにあります
オペアンプ(NJU7044)のシミュレーションを実行する
LTspiceを起動後、
メニュー → File → New Schematic
で、回路図を新規作成し、
メニュー → Edit → Component
で、Select Component Symbolウインドウを開きます。
[AutoGenereated]をダブルクリックすると、
先程、自動生成した「オペアンプNJU7044のシンボル」があるので、それを選択してOKをクリックします。
シンボルを配置し、以下のように回路図を作成します。
回路図「IN」の電圧波形:V(in)の信号(紫色)
回路図「OUT1」「OUT2」「OUT3」「OUT4」の電圧波形:
V(out1)の信号(青色) V(out2)の信号(赤色) V(out3)の信号(緑色) V(out4)の信号(ピンク色)
4回路入りオペアンプ NJU7044のそれぞれの増幅率が2倍、3倍、4倍、5倍となる回路になっています。
実際にNJU7044に1Vが入力され
OUT1:2V
OUT2:3V
OUT3:4V
OUT4:5V
をそれぞれ出力しています。
なので、作成したオペアンプ NJU7044のシンボルは正常に動作しているということが分かります。
このように、4回路入りオペアンプも部品モデル(spiceモデル)から簡単に作成し、
シミュレーションすることができます。
MOSFETはシンボルを作成しなくてもシミュレーションできる
MOSFETも同じ方法でシンボルを作成することができます。
しかし、わざわざシンボルを作成しなくても、
MOSFETはLTspiceにあらかじめ用意されているシンボルでシミュレーションできます。
詳しくは、「LTspiceに部品モデルを追加する方法」の記事で解説していますので参考にしてください。
LTspiceでシンボルのサイズを大きくする方法
先程追加したTPS63030_TRANS.asy で解説します。
ドキュメント → LTspiceXVII → lib → sym → AutoGeneratedフォルダ内の
TPS63030_TRANS.asy をダブルクリックして開いてください。
例えば、上方向にサイズを大きくしてみます。
メニュー → Edit → Drag
を選択し、上図のように上側を囲みます。(囲んでいる四角の左上で左クリックを押し、
そのまま右下までドラッグし、左クリックを離すと囲むことができます。)
このままマウスを上に動かし、左クリックを押せばサイズを大きくすることができます。
なお、うまくできなかったときは、右クリックで選択解除できますので、何度でもやり直すことができます。
LTspiceでシンボルのピン配置を変更する方法
続いて、ピン配置を変更する方法を解説します
先程のサイズを大きくした TPS63030_TRANS.asy で解説します。
VINのピン配置を左上に移動してみます。
VINピンで右クリックを押すと、Pin/Port Propertiesウィンドウが開きます。
「RIGHT」が選択されているので、「LEFT」を選択し、OKをクリックします。
メニュー → Edit → Drag
でVINピンをクリックし、シンボルの左上に移動してクリックすれば移動完了です。
完了後は忘れずに保存しましょう。
うまくできなかったときは、右クリックで解除したり、F9ボタンで前回の状態に戻れば、
何度でもやり直すことができます。
LTspiceで回路図をきれいに書きたいとか、データシートと同じピン配置にしたいというときは、
シンボルのサイズやピン配置を変更すると良いでしょう。
まとめ
今回は、LTspiceでシンボルを作成する方法について解説しました。
回路図のシンボルは、部品モデル(SPICEモデル)があってこそ、作成することができます。
今の時代、部品モデル(SPICEモデル)は、ほとんど部品メーカのHPで提供していますが、
まだまだ提供されてない部品モデルもあります。
部品モデルはないけど、「どうしてもこの部品でシミュレーションしたい!」というときは、
以下のLTspice本を参考にしてみてください。
LTspiceで唯一、部品モデルを作成する方法について解説した本だと思います。
というわけで、今回は以上となります。
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