出典:NEC
- DEMITAS NX って何?
- DEMITSX NXは電子回路で何の役に立つの?
- DEMITSX NXの価格と動作環境を知りたい
こんな疑問にお答えします。
本記事を書いている私は電子回路設計者として約10年になります
DEMITAS NX(デミタスエヌエックス)は、ノイズ解析のプリント板シミュレータです。
個人で購入できるシミュレータではないので、
アマチュアで使用している人はまずいないでしょう。
つまり、このシミュレータを使っている人はプロの証ですね。
私は仕事でプリント基板を設計するとき、DEMITAS NX を必ず使います。
その経験に基づいて、プロの方向けにDEMITAS NX の解説をします。
本記事を読めば、DEMITAS NX の価値が理解できるようになりますよ。
3分程度で読めますので、ぜひ最後までご覧ください。
DEMTAS NXとは
DEMITAS NX(デミタスエヌエックス)はNECが開発したプリント板シミュレータです。
プリント板シミュレータ・・・
プリント板シミュレータの役割
プリント板は様々なノイズを周囲の空間に放射します。
このノイズにより、
電気が通っている以上、
なので、プリント板を作成する際は、
とはいえ、ノイズが発生しないように設計しても、
実際に作成するまでは、どのくらいのノイズが発生するか分かりません。
実際にプリント板を作って調べてみたら多くのノイズが発生している・・・(汗)
この時はもう一度、作り直す必要があります。
このような後戻りが発生しないようにするためにプリント板シミュレータが必要になります。
プリント板のCADデータを用意して解析すれば、
ノイズが発生しにくい設計になっているか
ノイズをどのくらい発生するか
について設計段階で検証することができます。
実際にプリント板を作成する前に確認できるので、
DEMITAS NXの価格
DEMITAX NXの年間のライセンス料は以下の通りです。
DEMITAX NX EMC EXPERT:100万円
DEMITAX NX viewer:10万円
これにオプションのESDチェック機能を追加したりすると、+17万円ぐらいします。
他にもオプション機能はあるので、詳しくはNECのHPからお問合せください。
※「御見積等お問合せ」から問合せできます。
DEMITAS NXの動作環境
DEMITAS NXは、サクサクと動くものではないので、以下のPCスペックは必要です。
OS | Windows 7 / Windows 10 など |
CPU | Intel Core i3以上 |
メモリ | 1GB以上 |
ディスク | システム100MB+データ領域(200MB以上推奨) |
※その他にも、解析結果を表示するのに、Microsoft Excelが必要になります。
DEMITAS NXの読み方
すでにカタカナで記載していますが、改めて読み方を記載します。
DEMITAS NX:デミタス エヌエックス
会話では「デミタス」といい、NX(エヌエックス)は省略することが多いですね。
「デミタスかけた?」という表現をよく聞きます。
これは「デミタスでシミュレーションしてみた?」という意味です。
DEMITAS NX のメリット
DEMITAS NXのメリットは以下の3つです。
- 設計段階で対策が打てるので後戻りを減らせる
- 対策内容をシミュレータが提案してくれる
- ほとんどのプリント板メーカが対応している
1つずつ解説します。
設計段階で対策が打てるので後戻りを減らせる
先程も言いましたが、プリント板を設計している段階で検証できるので、後戻りを減らすことができます。
プリント板を作成するには、以下の工程が必要になります。
- 電子回路設計
- プリント板設計(アートワーク設計)
- プリント板作成
- プリント板に部品を実装
どんな回路のプリント板を作るかにもよりますが、ざっくりそれぞれの工程にかかる時間を1週間とすると、
全部で4週間、つまり1ヶ月もかかります。
作り直すとなると、さらに1ヶ月かかるので時間がもったいないですね。
また、コストもかかります。
これも、どんな回路のプリント板を作るかによって、金額は変わってきますが、決して安くはありません。
数十万~数百万円はかかるので、コストの観点でも作り直したくはないですね。
対策内容をシミュレータが提案してくれる
DEMITAS NXのシミュレーションを実行すると、解析結果はもちろんですが、対策内容も提案してくれます。
これが非常に便利で、例えば、
・この位置にコンデンサを追加してください
・ここのアートワークを修正してください
というように、シミュレータの方から提案してくれます。
ほとんどのプリント板メーカが対応している
国内のプリント板メーカであれば、ほとんどのメーカがDEMITAS NXを持っています。
なので、もし自分の会社にDEMITAS NXがなくても、プリント板メーカに依頼すれば、
代わりにシミュレーションを実行してくれます。
プリント板の設計を依頼するときに、
ただし、有料なので、依頼するたびにコストがかかるのが気になる方は、
DEMITAS NXを導入するように会社と交渉するしかないでしょう。
ちなみに、自分でシミュレーションする場合、
プリント板メーカからシミュレーションのデータをもらう必要があります。
メーカの担当者に「ASCIIデータ(アスキーデータ)をください」といえば入手できます。
このとき、「DEMITAS NXでシミュレーションするために必要です」と目的を伝えた方が
スムーズに話が進むと思います。
DEMITAS NXの注意点
DEMITAS NXはあくまでシミュレーションなので、設計段階で必ずノイズを抑制できるわけではありません。
当たり前の話ですが、未来を100%
とはいえ、NECの研究所で徹底的に検証されているので、
実際に、家電、自動車、航空宇宙など、
また、私もDEMITAS NXで何度もシミュレーションした経験があります。
DEMITAS NXでノイズが発生しないように設計段階で対策してからプリント
そのおかげで、ノイズの発生量を測定する評価試験で不合格になったことは、ほとんどありません。
なので、DEMITAS NXを活用した方がプリント板の品質は上がると思います。
ただし、絶対にノイズを抑制できるわけではないので、
DEMITAS NX を使ってみよう
無償評価版がある
DEMITAS NXを使ってみようかな~、と思った方に朗報です。
1ヶ月の無償評価版があります。
こういうツールは使ってみた方が早いので、利用してみると良いでしょう。
以下のNECのHPに移動し、「1ヶ月無償評価希望」
定期的にセミナーを開催
NECでは、定期的にセミナーもやっています。
参加費は無料です。
オンライン(Zoom)で受講できるので、
※「勉強会日程確認・お申込」から参加できます。
オンラインサービスも開始
NECでは、2021年1月からオンラインサービスを開始しています。
ライセンス料が高いよ~、という方には便利なサービスです。
このサービスでは、NECが提携するQuadcept社に設計データを送るだけで、
「ノイズを発生しにくい設計になっているか」をチェックし、
その結果をレポートファイルとして入手できます。
また、専門家の知見を学習したDEMITA NSのAI(人工知能)によって、
特に対策が必要な内容をレポートで提供してくれます。
なので、重要なところから対策でき、時間を効率的に使うことができます。
予算が厳しいけど、DEMITA NSは活用したいという方は利用してみてください。
というわけで、今回は以上です。
ぜひ、DEMITAS NXを使ってみてください。
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