電子回路設計者の将来性を知りたい。
安定した職業かどうか気になっている。
自分にこなせるかどうかも知りたい。
このように考えたことはありませんか?
本記事では、電子回路設計者の将来性について、なるべくデータに基づいて解説しています。
私は電子回路設計歴10年ですが、今まで将来性に不安を感じたことはありません。
ますます需要が高まっていく職種だと実感しています。
まずはその根拠から解説していきます。
電子回路設計者の将来性が明るい5つの理由
AI、IoT、自動化などの技術の進化により、電子回路設計の活躍する機会は増えています。
具体的に、どのような技術が要求されるでしょうか?
5つ事例で解説します。
モータドライブ
(前略)
2016年の車載用モーター世界市場は車両生産台数ベースで29億9900万個に到達。
2020年に2016年比1.2倍の36億7800万個に、2025年は同1.5倍の44億7100万個に拡大する見通しだ。
(以下略)
引用:車載用モーターの世界市場は2025年に44億個、駆動用は2016年比5.6倍に|MONOist(参照日2020年5月18日)
2020年→2025年にモータを8億個も生産するということ。
電気自動車やロボットでモータの需要が高まってますね。
それにしても5年間で8億個ってすごい数。小さい会社ではとても生産できないでしょう。
新たなメーカーが登場する予感がします。
電子回路設計者はこのモータを動作させるために、ドライブ回路設計の技術が要求されます。
例えば、電圧は48Vで動作させるか、100Vで動作させるか、200Vで動作させるかなど、
いろいろ電気的なことを考えて作る必要があるのです。
画像処理
(前略)
今後市場は製造現場における画像処理のみならず画像活用ニーズの高まりや、
省人化を目的としシステムを導入する業種や用途の広がり、
アナログCCDイメージセンサーなどの在庫減少による
本格的なデジタル化への移行やスマートフォンをベースとした画像処理装置の登場、
ディープラーニングの実用化による大手IT企業の外観検査ビジネスへの参入などから拡大し、
2022年には2018年比10.9%増が予測される。
(以下略)
引用:富士経済、画像処理システムの世界市場調査結果を発表|日本経済新聞(参照日2020年5月18日)
画像処理のニーズも高くなっていくでしょう。
画像処理の技術を電子機器に搭載する場合、よくFPGAが利用されます。
ASICでも良いのかもしれませんが、FPGAは後から回路を書き換えられます。
つまり、試作中にアルゴリズムを変えることできるので、FPGAだと便利です。
電子回路設計者にはFPGAなどの「デジタル回路設計」の技術が要求されます。
バッテリー
(前略)
調査会社の富士経済は、低価格化によりリチウムイオン電池の採用が増加する、
電力貯蔵・動力分野における製品別二次電池の世界市場調査を行った。
2030年のグローバル市場規模は、2017年比6.6倍の1兆2585億円まで拡大すると予測している。
(以下略)
引用:蓄電池の需要は急増、2030年の市場規模は1.2兆円以上に|スマートジャパン(ITmedia)(参照日2020年5月18日)
リチウムイオン電池のような二次電池のニーズも高くなっています。
「電池の回路設計って何?」と思う方もいるかもしれませんが、
バッテリマネジメントシステムを設計する必要があります。
バッテリマネジメントシステムを簡単にいうと、
バッテリが安全の領域内で動作するように管理するということです。
電圧、電流などが規定された範囲外で動作しないように設計します。
電子回路設計者には「アナログ回路設計」や「電源回路設計」の技術が要求されます。
無線通信
ミック経済研究所は、
工場向けの無線通信機器に関する市場予測と調査結果を取りまとめたレポート
「ワイヤレスコネクテッド・ファクトリー市場の動向と5Gの展望
~工場におけるワイヤレス化の現状と主要ベンダの実績と戦略、および5Gに向けた市場展望~」
を8月に発刊した。
(中略)
同レポートでは、IoT/M2Mソリューションを展開しているベンダーやキャリア、
通信モジュールや組込機器のメーカーなどへの取材を元に、
2017年度の市場規模は365億円と推計。
2022年度には789億円まで成長するとの予測を示している。
(以下略)
引用:2022年度の工場向け無線機市場は789億円、ミック経済研究所が予測|ケータイ Watch(参照日2020年5月18日)
無線通信技術の導入が進んでいますね。
中でも工場はIoTの「見える化」に伴って、ワイヤレス化が進んでいる印象があります。
工場に限らず、今後は、医療、オフィス、農業、流通、セキュリティなど様々な分野で
ネットワーク化が進んでいくはずです。
電子回路設計者には「高周波回路設計」の技術が求められます。
センサ
■2022年度予測
■センサーの世界市場 7兆7,009億円、971億ユニット
さまざまな分野で認識、計測、自動化需要が高まり、市場は拡大
(以下略)
引用:IoT環境の実現に向け、センサーの小型化、省電力化、ネットワーク対応が進むセンサーの世界市場を調査|富士経済グループ(参照日2020年5月18日)
センサのニーズも高まっています。
自然界がアナログでできているため、センサは常に必要とされます。
IoTに伴い、無線通信技術と組み合わせて、センサーネットワークの技術も導入が進んでいくはずです。
アナログをデジタルに変換する必要があるため、
電子回路設計者には「アナログ回路設計」の技術が求められます。
以上のように、これからの時代、電子回路設計者の活躍する機会が、まだまだ多くあることが分かります。
電子回路設計に向き不向きはない。失敗を恐れないことが大事。
電子回路設計の将来性がわかったところで、
「自分に回路設計の仕事をこなせるか不安」という方に、経験に基づいて解説したいと思います。
最初からできないのは当たり前
初心者のうちに、回路設計の仕事を任されたとき、
「え?いきなり設計とか無理なんですけど・・・」ということがあると思います。
このとき、先輩や上司は何を考えているでしょうか?
実は先輩や上司も最初からできるとは思ってはいません。
それでも初心者に任せる理由、端的にいうと、それは失敗を経験させるためです。
設計する → 失敗する → なぜ失敗したか考える → 次の設計で改善する
先輩や上司は、いくつもの失敗を積み重ねて、回路設計ができるようになっているのです。
初心者のうちから失敗して問題になるほど、重要な仕事を任されることはまずあり得ません。
なので、最初からできなくても問題はないです。
どの分野でも最初からできる人なんていないですよね。
失敗を恐れずに継続することが大事
少しずつ失敗を積み重ねていくと、それは貴重な財産になります。
なぜなら、その経験はAIやロボットで代用できないからです。
いずれは自分の得意分野を見つけて、その分野のスペシャリストになれば、かなり重宝されるはずです。
電子回路設計の世界でお待ちしています
電子回路設計に興味を持ったら、ぜひこちらの世界に来てみてください。
住み心地は非常に良いですよ。
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