- トランジスタの増幅回路って何ですか?
- トランジスタ増幅回路の種類を知りたい。
- バイアスや動作点についても教えてください。
このような質問にお答えします。
本記事を書いている私は電子回路設計歴10年です。
今回はトランジスタ増幅回路について解説します。
5分程度で読めますので、ぜひご覧ください。
トランジスタ増幅回路とその種類
トランジスタ増幅回路とは、トランジスタを使って交流電圧を増幅する回路です。
そのトランジスタ増幅回路には3つの種類があります。
- 固定バイアス回路
- 自己バイアス回路
- 電流帰還バイアス回路
それぞれ次のような回路です。
固定バイアス回路
自己バイアス回路
電流帰還バイアス回路
ぞれぞれの回路について解説したいところですが、本記事だけで全てを解説するのは難しいです。
詳細を知りたい方は以下の教材をどうぞ。それぞれ回路について解説しています。
よくある質問:トランジスタ増幅回路のバイアスとは
バイアスとは直流を加えて基準をつくることです。
例えば、交流電圧は0Vを中心に電圧が上下に変動していますが、
これに1Vの直流電圧を加えると、1Vを基準として電圧が上下に変動します。
この直流電圧を加えることを「バイアスを与える」とか、「バイアスを加える」とか言ったります。
また、この1Vの基準のことをトランジスタ増幅回路では「動作点」ということもあります。
トランジスタ増幅回路の問題を計算する方法
トランジスタ増幅回路の増幅度(増幅の倍率)はいくつでしょうか?
下記の回路で考えてみましょう。
トランジスタの電流増幅率 = 100、入力抵抗 = 770Ω とします。
その答えは、下記の式で計算することができます。
増幅の倍率 = ( トランジスタの電流増幅率 × 抵抗R1と抵抗R3の並列合成 ) / トランジスタの入力抵抗
抵抗R1 = 1kΩ、抵抗R3 = 1kΩなので、抵抗R1と抵抗R3の並列合成は500Ωになります。
よって、
増幅の倍率
= ( トランジスタの電流増幅率 × 抵抗R1と抵抗R3の並列合成 ) / トランジスタの入力抵抗
= ( 100 × 500 ) / 770
= 50000 / 770
= 64.935倍
≒ 65倍
となります。
このように増幅の倍率を計算できます。
本当に65倍になるか、シミュレーションで実験してみます。
トランジスタ増幅回路の増幅度をシミュレーションで実験
LTspiceでシミュレーションしました。
回路図「IN」の電圧波形:
V(in)の信号(青線)
回路図「OUT」の電圧波形:
V(out)の信号(赤線)
シミュレーションで実験したところ、
出力電圧:630mV
入力電圧:10mV
となりました。なので、
増幅度(増幅の倍率) = 出力電圧 / 入力電圧 = 630mV / 10mV = 63倍
となり、若干の誤差はあるものの、計算値の65倍とほぼ同じ倍率であることが分かります。
よくある質問:トランジスタ増幅回路のコンデンサとは
直流電圧をショートさせないためです。
例えば、コンデンサC1の左側は、0Vの場合が多く、
右側はベース-エミッタ間電圧の 0.6~0.7V ぐらいです。
異なる直流電圧は、直接接続することはできないので、コンデンサを挟んでいます。
なお、交流電圧はコンデンサを通過できるので、交流電圧を増幅する動作には影響しません。
内容は以下のとおり。
【目次】
・第1章 トランジスタ増幅回路の基礎知識
・第2章 固定バイアス回路の設計
・第3章 自己バイアス回路の設計
・第4章 電流帰還バイアス回路の設計
主にトランジスタ増幅回路の設計方法について解説しています。
自分で設計できるようになりたい方は下記からどうぞ。
トランジスタ増幅回路のまとめ
今回は、トランジスタ増幅回路について解説しました。
少しはトランジスタ増幅回路について理解できたでしょうか?
私が思うに、トランジスタ増幅回路は電子回路の入り口だと思っています。
学生のころは、教科書にも出てきてましたからね。
それでは、本記事が少しでもお役に立てば幸いです。